[メイン]
GM :
あの日の出来事はいつまでも頭の中にある。
それはまるで、楔のように、突っかかって取れない。
自分が自分であることに嫌気が差す。
………もしも、自分を変えることができるチャンスがあるのなら。
CoC『最後の希望』
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] GM : 「本日のニュースをお届けします。」
[メイン] GM : 「日本各地の美術館・博物館にて、強盗事件が同時多発しております。」
[メイン]
GM :
「ニュースをご覧になってる皆様も、美術館・博物館に訪れる際は
細心の注意をお払いください。」
[メイン]
GM :
「なお、警察当局によりますと、何名か未遂犯の逮捕に成功しており
同時に発声している強盗事件の関連性について、引き続き調査中とのことです」
[メイン] GM : 「では、次のニュースです。FILM REDの興行収入がついに─────」
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン]
丈槍 由紀 :
今は夕暮れ。日も落ちかけて、紅色の日差しが差し込んでいる。
教室のカーテンが、照らす明かりを受け止めていて。
[メイン] 丈槍 由紀 : チャイムが鳴り、少し古ぼけたスピーカーからは蛍の光が鳴っている。
[メイン] 丈槍 由紀 : もう、生徒たちが下刻する時間だろう。
[メイン] 丈槍 由紀 : とんとん、廊下で靴音を響かせて。
[メイン] 丈槍 由紀 : ガラリ。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「そろそろおかえりの時間だよ~」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………っ……」
びくりと、肩を跳ねさせる少年が、教室の隅っこに。
その少年は、目元を髪で隠しており、おどおどとした様子で、視線を由紀の方へ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「あら、明かりがついてたと思ったら……
昌くんだったんだ、やっほ~」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………丈槍先生……」
か細い声で。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : ど、どうもです……。と、小さく頭を下げる。
[メイン]
丈槍 由紀 :
笑い、そう言って大きく手を振る。
それを見せるのは小さな身長の先生。
座っているはずの昌と目線が同じくらいになっている。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
その少年は、自分席で絵を描いていたらしく
由紀が来るや否や、ぱたりとノートを閉じた。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……み、見回り、ですか……?す、すみません……すぐに、帰りますので……」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「あ、見回りもなんだけどね!
昌くんにちょっと、見てほしいものがあって来たんだ~」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………? 見てほしいもの、ですか……?」
そそくさと、荷物を鞄に入れ、席を立ち上がりつつ、小首を傾げ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
ふんす、と鼻息を漏らし。
そのままぱたぱた、と昌の向かい側の椅子に座る。
[メイン] 丈槍 由紀 : うん!と大きく頷き。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「え、えっ……!?」
対面に座る先生に、動揺している。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「じゃじゃん!どうかな!
昌くんみたいに絵を書いてみたんだけど、難しいね!」
[メイン]
丈槍 由紀 :
バッと、自慢げにノートを広げる。
そこにはクマやトリ、動物たちがファンシーに描かれていた。
[メイン] 丈槍 由紀 : ただ、お世辞にも上手いとは言えない。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……………そ、その、とても、個性的、ですね……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 猫背姿勢で、視線を逸らしながら。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「そ、それってどういう意味での個性的!?」
がぁん、とショックを受けている。大の大人なのに。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「えっ………!?あ、え、えっと、そ、それは、その……」
少年また、失言してしまったことに狼狽えながら。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……………そ、その……先生は、どうして……僕、なんかに……?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : ちらりと、小さな黒目を由紀へ向けながら。
[メイン]
丈槍 由紀 :
あっ、いいよいいよぉ、気にしないで。
と小さな手を振りながら。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 少年に、こうして、積極的に関わってくる人はほとんどいない。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
むしろ……無視、いないものとして扱われている。
─────"いじめ"として。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「半分は、先生だからです!」
小さな胸を張り、昌に軽く笑いながら。
[メイン]
丈槍 由紀 :
そして、その目をゆっくりと閉じて、開いて。
昌をじっと見つめる。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……………」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「もう半分は……私自身が、あなたとお話がしたくって
でも私、話しかけるのはあんまり得意じゃなかったから……」
[メイン] 丈槍 由紀 : すす、と椅子に座り直し。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「こうして、絵のお話なら出来るかなぁ?って!
……だから、なんで昌くんと、なんてものはないですよ」
[メイン] 丈槍 由紀 : にこりと微笑みつつ。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………僕は……そんな、大した人間では、ありませんよ……
……教員の立場として、生徒の面倒を見なくてはいけないのは……
僕も……なんとなく、分かります……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「…………先生は、とても良い人です」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
僕なんかには、勿体ないくらい……。
そう、ぽつりと呟き、少年は鞄を抱えたまま、教室を出て行った。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……あっ、昌くん……」
[メイン]
丈槍 由紀 :
最後に声を掛ける暇もなく、少年は視界からいなくなってしまい。
伸ばした手はどこに行ったのだろう。
[メイン]
丈槍 由紀 :
赤い光が、由紀に差し込んでいれば。
がらり、また扉の音が響く。
[メイン] ベックマン : カツン、カツンと音を立て、扉を開くは巨体の男
[メイン] ベックマン : 「これは由紀先生、今廊下で昌に会ったが何かあったのか?」
[メイン]
丈槍 由紀 :
はっと顔を見上げれば、そこにいたのは巨漢の男性。
首を伸ばさないと顔と顔が合わせられない。
[メイン]
丈槍 由紀 :
ぐぐ~~っと、キリンのように首を伸ばして。
ベックマンさん、相変わらずおっきいなぁ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「あら、ベックマンさん。
あはは~、実はさっき昌くんとお話してたんですが……
振られちゃって」
[メイン] 丈槍 由紀 : 頬をぽりぽり、と恥ずかしげに掻く。
[メイン] ベックマン : 男はそれを見てフッ、と少し笑い
[メイン] ベックマン : 「ま、あの時期の男ってのは色々あるもんだ。気をかけてくれる先生がいるってだけでも助けにはなってるだろうよ」
[メイン]
丈槍 由紀 :
おぉお~、と心の中で小さく拍手。
これが大人っぽい余裕なのかな。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「ふふっ、ベックマンさんにもあんな時期があったんですかね?」
[メイン] 丈槍 由紀 : 今から見れば考えられない。そんな様子に、ふふっと笑いつつ。
[メイン] ベックマン : 「……まぁ、その事はまたおいおい」
[メイン] ベックマン : あまり思い出したくはない、そう顔に出してしまいながら
[メイン] 丈槍 由紀 : あはは、と手を合わせて軽く笑いつつ。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……まぁ、昌くんに話しかけたのも……気になったことがあったからなんですよね」
[メイン]
丈槍 由紀 :
そうして、口に出す。
最近昌がいじめにあっている、という様子が見える事。
暴力的なものではないが、無視という精神的な暴力が発生している噂がある。
[メイン] ベックマン : 額に手を当て、少し考え込む
[メイン] ベックマン : 「人には言いたくねェことの一つや二つあるもんだが……いじめ、となれば少し話も変わってくるか」
[メイン] 丈槍 由紀 : こくり、と頷いて。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「いじめなんて、うちのクラスで起きたとは思いたくないですけど……
ですが、その結果辛い思いをしている生徒がいるなら、目を背けるわけにはいきません」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……学校は楽しいものだって思ってもらいたいから。
楽しくないなら、無理しなくてもいい……って伝えたかったんですけどね」
[メイン] ベックマン : 「ま、こっちでも少し調べてみるとしようか。他ならぬ由紀先生の悩み事だ」
[メイン]
丈槍 由紀 :
ふぅ、と小さく溜め息をついて。
……まだまだ新人教師の中でしかないみたいだ。めぐねえのようにはいかないな。
[メイン] 丈槍 由紀 : その言葉に、ぱぁっと顔を輝かせて、ベックマンを見る。
[メイン] ベックマン : にやり、口角を吊り上げてみせる
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……!本当ですか……!ありがとうございます!」
[メイン] 丈槍 由紀 : ぺこぺこ、と頭を何度か下げて。
[メイン] ベックマン : 「といってもおれは用務員、あくまで調べたり話を聞くだけで昌をどうにかするのは…由紀先生、あんたの仕事だ」
[メイン]
ベックマン :
礼に背を向け、教室を出る。
ピシャリ!扉を勢いよく開け閉めし、男は去っていく
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……ベックマンさん……」
[メイン]
丈槍 由紀 :
扉に顔を向け、ありがとうございます、と再度礼を伝える。
そうだ。お節介かもしれないけど、私が気になったことは、最後まで付き合ってあげたい。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「よぉーし、頑張らないと……!」
[メイン] 丈槍 由紀 : ぺちん、と両手で頬を叩き、自身を鼓舞して。
[メイン] 丈槍 由紀 : 広げたノートブックを跳ねの付いた白い鞄に詰め込んでいく。
[メイン] 丈槍 由紀 : ふと、陽の落ちる外を見て。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……心配だな」
[メイン]
丈槍 由紀 :
最近は、美術館や博物館での強盗が起こっているらしい。
未遂犯はいるらしいけど……止まってない所を見るに、真犯人は別なんだろう。
[メイン] 丈槍 由紀 : そういう事件に、巻き込まれないといいんだけど。
[メイン] 丈槍 由紀 : 視界の先には、真っ赤な街並みが広がっていた。
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] GM : そして次の日。
[メイン] GM : 小早川 晶の姿は、学校に無かった。
[メイン] GM : またその次の日、さらにその次の日も、彼の姿は無かった。
[メイン]
GM :
どうやら、家にも帰ってきていないらしく。
捜索願も既に、警察に届け出されたとのこと。
[メイン] GM : 教室の隅にある机は、今日も、誰も座っていなかった。
[メイン]
GM :
それでも日常は巡り続ける。
彼という存在がいないことが、あたかも当然のように。
いじめられっ子とは、そういうものだ。
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン]
丈槍 由紀 :
そう、なんでもない日々だ。
晶を気にする生徒は、そのクラスには特にいない様子で。
[メイン] 丈槍 由紀 : ただ。名簿に3回連続の”欠”を入れる手は、そわそわと動いていた。
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 : 「あ、ごめんね~、二人とも!」
[メイン]
丈槍 由紀 :
廊下、目の前の生徒二人に小さな手で大きく手を振る。
目に留まる様に、せわしなく。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「あなた達、昌くんを見なかったかな……?
特に千代ちゃんは、同じ美術部員だから、知らないかと思って」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 声の方に顔を向けると、そこには由紀先生が。
[メイン]
千代田 桃 :
「……?」
「……千代、自首するなら早い方が量刑は軽いよ」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「ええっ!?千代ちゃん何かしたの!?」
目を真ん丸と、率直に受ける。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「えっ自主!?私なにも悪いことしてないよ!?」
両手を振ってあせあせと否定する。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「由紀先生も何言ってるんですか!?」
[メイン] 丈槍 由紀 : なぁんだ、とホッと胸を撫で下ろし。
[メイン] 千代田 桃 : 「……いや、私の身に覚えがないなら、千代しかないと思って……」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「あはは、二人とも今日もいつも通りみたいだね
うんうん、感心感心!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 中学生である二人の身長と同じ、いやそれよりも小さい背でこくこくと頷きつつ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「ただ……二人とも、どうやら知らなそうかな?
小早川 晶くん。あの子、数日前から行方不明らしいの」
[メイン] 千代田 桃 : 「……こばやかわ……」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : …私ってそんなに何かしそうな人間に見えるかなぁ?
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : コホンと咳払いして。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「小早川くん?そういえば数日美術部に来てませんね…って行方不明!?」
[メイン] 丈槍 由紀 : そうなの!と両手を握り、何度も頷く。
[メイン]
千代田 桃 :
「……ああ、前に千代が褒めてた……」
……通りで聞き覚えがあると。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : そうそう彼だよ、と桃にうなずく。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「それより、行方不明って本当なんですか?」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 自分の身近でそんなことが起こるなんて…。
[メイン] 丈槍 由紀 : こく、と頷いて。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「親御さんも姿を見てないらしいし、届け出まで出されたって聞いたの」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「そんな…」
[メイン] 千代田 桃 : 「…………。」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「それくらい行方がわからない……足取りも掴めてないみたい
この後、放課後になったら晶くんのお家に行ってみようかな、って思ってたのだけれど」
[メイン] 丈槍 由紀 : すっと、二人を桃色の瞳で見て。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……どう?二人も一緒に来る?
無理強いはしないんだけど、気になってるなら……どうかな」
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
この前会ったときはおどおどしてたけど、普段と変わりなさそうだった。
急いでそうだったからすぐに別れたけど、もうちょっと話を聞いていれば良かったかもしれない…。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「私は同じ美術部員として彼のことが気になります。それに、多分最後に会ったのは私たちのはずだと思うので」
[メイン]
千代田 桃 :
……少し自身の口元に手を当てる。
…………私が向かっても、彼のことなんてほとんど知らないし…どれだけ力になれるかも知らないし。
[メイン]
千代田 桃 :
……でも、まあ。
「……わかりました」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「いいの?」
[メイン]
千代田 桃 :
「うん」
……そりゃ、自分と彼を照らし合わせたのとか……少しばかり、最後にあった責任を感じているのもなくはないけど。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「ありがとう!桃ちゃんも来てくれるなら心強いよ!」
[メイン]
千代田 桃 :
……多分、単純に断るほどの理由が思いつかなかった……それだけ。
「……まあ、がんばります」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 桃ちゃんは小早川くんにこの前初めて会ったばかりなのに心配してくれてるんだね。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……!わ、ありがとう!
二人がいてくれるなら、先生も張りきっちゃいます!」
と、その言葉に、笑顔を挙げて、両手を振りかぶる。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「はい!私も頑張ります!」
うんうんとうなずく。
[メイン] 千代田 桃 : 由紀の子供っぽい動きに苦笑する。
[メイン] 丈槍 由紀 : それじゃあ、しゅぱーつ!と掲げた両手のまま進んでいく。
[メイン] 丈槍 由紀 : ……む、今なんだか笑い声が。
[メイン]
千代田 桃 :
──頑張る、か。
……なんて、自分たちの言葉になんとなく彼の最後の姿がよぎる。
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 : そして、晶くんの自室。
[メイン] GM : ─────小早川家の家族は、特に何も咎めることなく、由紀達を招き入れた。
[メイン]
GM :
家族は、これといって心配している様子も無く。
晶?あああの親不孝者のこと?勝手にどうぞ、といったような対応であった。
[メイン]
GM :
そして晶の部屋はというと、質素なものであった。
普通の本棚に、普通の机、普通のベッド。
[メイン]
丈槍 由紀 :
親御さんの態度に、いささか違和感を覚えつつ。
……なんだか、イメージと違ったな。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「お邪魔します」
親なのに子供が行方不明で心配しないんだ…。
[メイン] 千代田 桃 : ぺこりと頭を下げる。
[メイン] 丈槍 由紀 : ぺこり。親御さんに頭を下げて。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「勝手に入っちゃうのは申し訳ないけど……この際仕方ないよね」
[メイン] 丈槍 由紀 : 二人に頷いて、机を見てみる。
[メイン]
GM :
由紀が机を見ると、一台のノートパソコンがあった。
それだけであった。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「パソコン……」
かちっ。電源を入れる。
[メイン] GM : パスワードを入力しないと、中身を見れないようだ。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 家族以外の男の子の部屋に入るのって初めてかも。なんて思いながらキョロキョロと周りを見回す。
[メイン]
千代田 桃 :
…………。
……万が一私が失踪するときは、ハードディスクは破壊しておこう。
[メイン]
GM :
千代がきょろきょろと見渡すと、本棚に目がいくことだろう。
古本屋で買ったと思わしき、絵画に関する本が並べてあった。
[メイン]
丈槍 由紀 :
……パスワードかぁ。好きなものを知ってるほど、あの子とお話しできたわけでもない。
ちょっと担任として残念かも。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「むむむむ……二人とも、そっちはどう?」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 小早川くん、本当に絵が好きなんだなぁ。そう思いながら本棚の本に手を伸ばし、パラパラとめくってみる。
[メイン]
GM :
西洋絵画や、日本古来の絵に関する情報が並べてあるだけであった。
特にこれといって、変な点は無いだろう。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「本棚は美術に関する本だけですね」
由紀先生に報告する。
[メイン] GM : そんな時に、はらりと一枚の写真が落ちる。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「…あれ?」
落ちた写真を拾い上げる。
[メイン]
千代田 桃 :
「はっ、はい……」
慌ててそのあたりの引き出しを開けようとした矢先、その写真に目が移る。
[メイン] 千代田 桃 : 「……それは?」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「そっかぁ……うん?」
写真を覗き見ようとする。……つま先をぴんと伸ばして。
[メイン]
GM :
その写真には、どこか見たことあるような小さな男の子と
赤いリボンの、笑顔の女の子が手を繋いでいる様子が映っていた。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 桃ちゃんと由岐先生にも写真を見せる。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「わっ!ちっちゃい!すっごいかわいい~!
でも誰だろう、これ……?」
[メイン]
千代田 桃 :
「…………」
訝しげに眺める。
[メイン]
丈槍 由紀 :
手をぱちん、と叩いて、目を輝かせつつ。
ふむ?と首を傾げる。
[メイン] 丈槍 由紀 : アイデアで二人に見覚えがないか確認してもいいかな?
[メイン] GM : どうぞ
[メイン] 丈槍 由紀 : CCB<=70 INT×5 (1D100<=70) > 36 > 成功
[メイン]
GM :
小さな男の子は、晶の面影があることが分かる。
今と違って、元気そうな様子だ。
女の子の方は、見覚えが無い。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : GMさん、写真の裏になにか書いてあったりはしますか?
[メイン] GM : 日付が書いてあった。今から7年前に撮られた写真のようだ。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「7年前に撮られた写真みたいですね」
[メイン] 千代田 桃 : 「ってことは……7歳か8歳くらいかな」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「これ、晶くんじゃない!?
わ、そうなんだ……!小学生、いやもっと前かな?こんなに可愛かったんだ~!」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「言われてみれば…確かに小早川くんに似てますね」
[メイン] 丈槍 由紀 : いいなぁ~、幼稚園の先生も憧れてたんだよねぇ~、と呟きつつ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
7・8歳……みんなの小さい頃どんな感じだったんだろうな。
と、ニヤニヤとした顔で二人を見つめつつ。
[メイン] 千代田 桃 : ……確かに、丈槍先生ならそのくらいの子ともすぐに仲良くなれそうだ。
[メイン] 千代田 桃 : 「……何ですか」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「ううん?
今も可愛いけど、もっと前のみんなも可愛かっただろうなぁって」
にこっと笑いながら。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 可愛いだなんて~少し照れながら笑う。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………。」
複雑な笑みを返す。
[メイン]
丈槍 由紀 :
笑顔のままくるり、と体の向きを変えれば。
ベッドにあたり、そのまま体がこけてしまう。
[メイン] 丈槍 由紀 : ベッドに目星!
[メイン] GM : どうぞ
[メイン] 丈槍 由紀 : CCB<=80 目星 (1D100<=80) > 42 > 成功
[メイン] GM :
[メイン]
GM :
皺ひとつなく、綺麗にされたベッドであった。
小早川家の両親がやったものなのか、それとも晶がやったものなのか
それは定かではないが、ベッドと壁との間に、何かが落ちていることに気がつくだろう。
[メイン]
丈槍 由紀 :
あたたた、と声を挙げながら。
頭の方にあった違和感に手を伸ばし、拾い上げる。
[メイン]
千代田 桃 :
「……大丈夫ですか」
ため息をつきながら由紀の体を引っ張り上げようとする
[メイン] GM : それはカレンダーであった。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「うひゃ~、ごめんね!」
と一本釣り。簡単に引っ張り上げられて。
[メイン] 丈槍 由紀 : 衝撃で手に持っていた、カレンダーをぱらりとめくれる。
[メイン]
GM :
何の変哲も無いカレンダーであったが
その中に、8/25に赤い丸がついており、命日、と書かれていた。
[メイン] 丈槍 由紀 : 桃にありがとお、と笑顔を見せていたが。
[メイン] 丈槍 由紀 : 視界内、入った文字に。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……え?」
[メイン]
千代田 桃 :
「ん……何ですか、それ?」
覗き込むように見る。
[メイン] 丈槍 由紀 : 命日?どういう意味……?いや、今日って……何日?
[メイン]
丈槍 由紀 :
「こ、これ……!」
カレンダーを、慌てて広げみせる。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「大丈夫ですか?どこか打ったりしてませんか?」
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「…?」
カレンダーの方に目を向ける。
[メイン] 丈槍 由紀 : 今日の日付をスマホで確認しようとする。
[メイン] GM : 8/23
[メイン] 丈槍 由紀 : ごくり、と息を呑み。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……カレンダーに書かれてたの
今日から二日後の25日が命日、って」
[メイン]
丈槍 由紀 :
……命日。”死”を含む意味のソレ。
どのような過程があったかはわからないが、子どもが呟く”死”を足蹴にしてはいけない。
[メイン] 丈槍 由紀 : 他の人が見て簡単な理由でも、当人にとっては重いのだ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「事態は、本格的に危ないかもしれない、かも
……千代ちゃん、あなたってパソコン得意じゃなかった?」
[メイン] 千代田 桃 : 「……」
[メイン] 丈槍 由紀 : 千代の瞳を見て、そしてパソコンの置かれた机に目を向ける。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「え?人並みには使えると思いますが…」
[メイン]
丈槍 由紀 :
……私は人並みに使えないの。
口をきゅっと結ぶ。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 由紀先生の視線を見て、そういうことかと納得する。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「わかりました」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 机の上のノートパソコンにパスワードを打ち込もうとする。
[メイン]
千代田 桃 :
……。
推測とかで簡単に当たるものじゃないし、流石に無茶だと思うけど……
……例えばそう、メモとか、あるいは日記みたいなヒントが……
[メイン] 千代田 桃 : そう考えて、とりあえず机の引き出しや何やらを探ってみる。
[メイン]
GM :
桃が引き出しを開けると、綺麗に整理整頓された様々な筆記用具や
絵画に纏わる参考書等が並べてあった。
そしてその中には、アルバムもあった。
[メイン]
千代田 桃 :
「……」
ふと、そのアルバムを手に取った。……ずっしりと重い。
[メイン] 千代田 桃 : ……悪いと思いつつ、中の写真を確認してみるよ
[メイン]
GM :
ぱらぱらとめくる。それは小早川 晶の成長記録を
写真として納めてきたものであった。
[メイン]
GM :
そして途中から、件の赤いリボンの、笑顔の可愛い女の子と
一緒に映っている写真も現れる。
どの写真も楽しそうに、平和で、心温まるようなものばかりであったが。
[メイン]
GM :
途中から、その赤いリボンの少女の姿が消えていた。
そして、晶の表情も、今の晶のように、暗い表情となっていた。
[メイン] GM : 成長記録は、小学生の途中までで終わっていた。
[メイン] 千代田 桃 : 「…………。」
[メイン]
千代田 桃 :
……ぱたん、とアルバムを閉じる。
さっきの写真は、ここから落ちたものだったのかもしれない。
[メイン] 千代田 桃 : 「すみません。……少し手洗いに」
[メイン] 千代田 桃 : そう言い残して部屋を去り、先ほど顔を合わせた両親を探す。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「うん!行ってらっしゃい」
一人カタカタとノートPCと格闘している。
[メイン]
GM :
桃は、居間で小早川家の母親を見つけることだろう。
家事をしているところであった。
[メイン] 千代田 桃 : ……あんまり間違えるとロックがかかる可能性もあるけど、大丈夫かな。
[メイン]
千代田 桃 :
「……すみません。……ちょっと聞きたいんですが」
写真を取り出してリボンの少女のことを尋ねてみるよ
[メイン] GM : 「………あー?……聞きたいことぉ?今忙しいんだけどねぇ」
[メイン] GM : 嫌そうな顔をする、老けた顔の女性。
[メイン] GM : 「晶のことなら、放っといていいよ」
[メイン] GM : 「あんな親不孝者、いなくなって清々するわ、ほーんと」
[メイン]
千代田 桃 :
「…………」
……家庭の事情……というのも、あるのだろうが……まあ。
[メイン] 千代田 桃 : 「……それはまた、何か悪いことでも?」
[メイン] GM : 「あなたに言う必要があるのかい?」
[メイン] 千代田 桃 : うっ。
[メイン] GM : 「プライベートの散策だなんて、悪趣味ねぇ……」
[メイン]
GM :
最近の子はこれだから……と、ぶつぶつ言いながら
掃除機でカーペットを掃除する、老け顔の女。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………。」
……………………ここまで来た手前。
[メイン] 千代田 桃 : 「……あの。お邪魔させていただいているのですし、よければお手伝いしますよ」
[メイン]
GM :
「………んんー?」
眉を少しへし曲げながら、桃をちらりと見て。
[メイン]
GM :
「へぇ~、最近の子は、そういうことも言えるのねぇ
晶も見習ってほしいものだわぁ、ほーんと」
[メイン] GM : あーいたた、と腰を叩きながら。
[メイン]
千代田 桃 :
こくり。
「筋力には自信ありますから。少し掛けて休んでいてください」
[メイン]
GM :
「こりゃありがたいねぇ、それじゃあ、甘えさせてもらおうかしら」
そう言い、老け顔の女は、よっこらせ、とソファに座る。
[メイン] 千代田 桃 : そのまま掃除機を肩代わりして、カーペットの掃除を続ける。
[メイン] GM : その姿をじっと眺めながら、湯呑に入ったお茶を飲む老け顔の女。
[メイン] GM : そして、しばらくして、口を開く。
[メイン]
GM :
「……そこまで晶のことを心配かけてるっていうなら
やめた方がいいわよ、言っとくけどあの子は」
[メイン] 千代田 桃 : (……!)
[メイン] GM : 「─────人殺しだからねぇ」
[メイン] GM : ずずず、とお茶を飲み。
[メイン]
GM :
「……分かったかい?これ以上散策はしてもらわないでほしいわ
ウチも、痛い目にあったんだから、ほーんと」
[メイン] 千代田 桃 : ……引っ張りすぎた掃除機のコードがぷつりと抜け、一瞬、静寂が広がる。
[メイン]
千代田 桃 :
──ひとごろし?
……確かに、そう言ったの?
[メイン]
GM :
それ以上は何も言わないからと言いたげに、手を払うようにする。
そして、よっこらせ、と重たい腰を上げ、冷蔵庫からアイスを出し
それを桃に渡し、再び老け顔の女はソファに座り、休養を取り始めた。
[メイン]
千代田 桃 :
「……あ。……ありがとうございます」
ぺこりと礼をし、掃除機をあるべき場所へと片付けて、部屋を出る際にもう一礼する。
[メイン]
GM :
女はちらりと桃を見て、再び視線を時計の方へと戻した。
湯呑を、ずずず、と飲みながら。
[メイン]
千代田 桃 :
…………。
「……私たちはそろそろこれで。せっかく急に招いていただいておいて申し訳ありません」
[メイン] 千代田 桃 : そのまま足早に部屋へ戻る。
[メイン]
千代田 桃 :
「……欲しい人」
アイス一本を片手に。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「あ、ほしいほしい!……と思ったけど
一本だけなら……千代ちゃん、食べる?」
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「私は大丈夫、です」
むむむ、とノートPCとにらめっこ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
手をぴょんぴょん上げつつ、由紀の視線はパソコンから桃に移る。
───パスワードに『0825』と入力したパソコンから。
[メイン] GM : 認証完了。
[メイン] 丈槍 由紀 : じゃあ……貰っちゃおうかな?と口に手を当てていたが。
[メイン] GM : パソコンは立ち上がった……が、中身は初期状態であった。
[メイン]
GM :
学校に関することも、趣味に関することも
これといったものは無かった。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「あ、開いた…でもこれって…」
[メイン] GM : しかし─────。
[メイン]
GM :
インターネットエクスプローラーを開くと。
検索履歴に、あるものだけが残っていた。
[メイン]
GM :
奈良にある、とある美術館の名前。
それだけであった。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「これは…」
桃ちゃんと由紀先生にも画面を見せる。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……!」
ごくり、と息を呑み。
[メイン] 千代田 桃 : 「……!」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……近くはない……けど、遠くもない
一時間くらいで行ける所、だね」
[メイン]
丈槍 由紀 :
不自然にまで、まるで誰かが見ることがわかっていたかのように消されたパソコン。
そこに残っていた履歴……という事は。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………」
マウスの上の千代の手に手を重ねて、その履歴から再検索する。
[メイン]
GM :
国宝「地獄草紙」が展示されている美術館だ。
住所も載っている。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「ふえ?」
そのままされるがままに。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……地獄草紙……かぁ」
[メイン] 丈槍 由紀 : スマホで地獄草紙について調べてみるよ
[メイン]
GM :
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
地獄草紙 東博本 雲火霧
地獄草紙 東博本 雨炎火石
地獄草紙(じごくぞうし)は、地獄を描いた12世紀の絵巻物。地獄草紙と呼ばれる絵巻物は、東京国立博物館本(国宝)、奈良国立博物館本(国宝)、旧益田家本甲巻、旧益田家本乙巻の4巻があった。このうち旧益田家本乙巻は、現在では、地獄を描いたものではないとされ、「辟邪絵」(へきじゃえ)と呼ばれるようになっている。
東博本は、髪火流地獄、火末虫地獄、雲火霧地獄、雨炎火石地獄の4図がある。奈良博本は、屎糞所、函量所、鉄磑所、鶏地獄、黒雲沙、膿血所、狐狼地獄の7図がある。旧益田家本甲巻は、火象地獄、咩声地獄、飛火地獄、剥肉地獄、沸屎地獄、解身地獄、鉄山地獄の7図がある。
奈良国立博物館本、東京国立博物館本は、『餓鬼草紙』、『病草紙』、『辟邪絵』(いずれも国宝)などとともに、後白河法皇が制作させ、蓮華王院の宝蔵に納められていたことが記録されている「六道絵」の一部であったとする説がある。これらが蓮華王院の宝蔵にあったものだと断定はできないが、時代的には後白河の時代、すなわち12世紀頃の制作と考えられている。
[メイン] 丈槍 由紀 : 目がしぱしぱした。現代国語の教師なのに。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「と、ともかく……
……ここに残ってるのが唯一の手掛かりなら、行ってみる価値は……ある」
[メイン]
丈槍 由紀 :
唯一残されたものが、何かしらの罠なのか、それとも……SOSなのか。
そのどちらにせよ、私は行ってみたい。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「二人は……どうかな?
ここまで付き合わせちゃったけど、奈良はちょっぴり遠出だから……」
[メイン] 丈槍 由紀 : 申し訳なさげに、ちらりと見て。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「…桃ちゃんはどうするの?」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 私は行くつもりだけど、これ以上桃ちゃんを付き合わせるのは悪い気がしていた。
[メイン]
千代田 桃 :
「行きます」
……それは、積極的理由というより……胸がざわつくような悪寒から。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「…桃ちゃん」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「由紀先生、私も行きます」
[メイン] 千代田 桃 : 「千代」
[メイン]
千代田 桃 :
……少し、言葉を濁す。
「……。……千代にとっては、これ以上は危険かもしれない」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「え…?危険…?」
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「それって、どういうこと?」
桃の瞳をじっと見て尋ねる。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 行方不明になった小早川くんを探してるだけなのに、なんで?
[メイン]
千代田 桃 :
ふぅ、と息をつく。
「……あのさ、さっきリビングで聞いたんだけど。……小早川晶、彼は──」
[メイン]
千代田 桃 :
[メイン]
千代田 桃 :
……写真のこと、階下であったこと。……一通り伝え終わって、口をつぐむ。
「──私だって、あまり信じたくはないけど」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「………」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 小早川くんが、人殺し?え、急にそんなこと言われても…。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「…………」
その話を耳に、真剣な顔で二人を見つめつつ。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 頭がグルグルする。普段美術室で見ていた彼の姿に、人殺しのイメージが重なることはなく。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……桃ちゃんは、つまり……
そう言われている彼を調べるなら、相応の危険が伴うかもしれないと……
千代ちゃんの身を案じて、言ったのですね」
[メイン]
千代田 桃 :
「…………。」
由紀に頷く。
……彼自身のこともあるが……それが嘘にせよ本当にせよ、あまりにもキナ臭すぎる。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 桃ちゃん…。由紀先生の言葉を聞いて、桃の方に顔を向ける。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「私のこと、心配してくれてるんだね。本当に優しいよ」
[メイン] 丈槍 由紀 : ベッドに腰を下ろしたまま、二人のやりとりを見守る。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「でも、危険ってわかってるなら、なおさら桃ちゃんと由紀先生だけを行かせるわけにはいかないよ」
[メイン] 千代田 桃 : 「……!」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「それに、本当にそうなのか、私は本人に聞かないと信じられないよ」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 彼と、彼の作品を同一視するのは間違ってるかもしれない。だけど、私は彼の描く絵が素敵って思った。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「だから、行くなら私も連れて行って。迷惑はかけないようにするから…」
[メイン]
千代田 桃 :
「…………」
千代を見て、それから由紀の方を仰ぐ。
[メイン] 丈槍 由紀 : 桃の視線に、こくりと頷いて。
[メイン]
丈槍 由紀 :
二人とも、真剣な眼差しをしてる。
……決して生半可な気持ちじゃない。なら、私はそれに応えないと。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「わかりました。桃ちゃん、千代ちゃん。
二人の気持ちは、とてもよく伝わりました。花丸です」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「その気持ちは裏切れません。
一緒に、本人に……晶くんに会いに行きましょう」
[メイン]
丈槍 由紀 :
ですが、と小さな腰を上げて。
二人の頭を背伸びして、ぽん、と手を置く。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「私は晶くんもそうですが、二人の先生なんですよ?
危ないことがあるなら、まず私が守るからね!」
[メイン] 千代田 桃 : え、と鳩が豆鉄砲を喰らったように。
[メイン] 丈槍 由紀 : そんな様子に、ふふっと微笑みながら。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「それじゃあ……改めて、向かおっか!
思い立ったが吉日……とも言うからね!」
[メイン]
丈槍 由紀 :
桃のアイスをひょいっと取り。
少し溶けているそれを食べながら、扉から出て行った。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………。国語の先生みたいですね」
少し気の抜けたように、ふふっと笑う。
[メイン] 千代田 桃 : 「あっ」
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「桃ちゃん、私たちも行こうか」
桃の手を取り、部屋を出て行こうとする。
[メイン]
千代田 桃 :
「……あっ、うん」
手を引かれるままに。
[メイン] 千代田 桃 : ……そのあたたかな手の温度にも、誤魔化しきれないような……凍えるような悪寒が、どこかに残っていた。
[メイン] :
[メイン] :
[メイン] :
[メイン] 丈槍 由紀 : 一足先に小早川宅を出た際。
[メイン] 丈槍 由紀 : スマホがぴこん、と音が鳴る。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「あれ……ベックマンさん?
……ふむふむ、盗難事件……国宝……あれ、この美術館って行先、一緒だ……!」
[メイン]
丈槍 由紀 :
一気に、スマホの端末に情報が流れ込む。
電波不良で先ほどと届いてない適ったらしく。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「えーっと……事情を説明して、っと。
『い・ま・か・ら・む・か・い・ま・す』……」
[メイン] 丈槍 由紀 : ぽちぽち、慣れていないのがわかる速度で打ち込み。
[メイン]
丈槍 由紀 :
……それにしても、数時間前かぁ。
連絡はついてないみたいだし……事故に合ってないといいけど。
[メイン]
丈槍 由紀 :
殺人犯。強盗。美術品。行方不明。
日常ではニュースでしか目に付かないようなワードがつらつらと頭の中を駆け巡る。
[メイン] GM : ─────その時。
[メイン] GM : 由紀の携帯に、非通知電話が。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……?」
[メイン]
丈槍 由紀 :
ヴー、ヴーとなる端末に。
あわわと慌てながらも、ぽち。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「はい、どちら様でしょう……?」
[メイン] 丈槍 由紀 : 訝しげに、スマホを耳に当てる。
[メイン] GM : ……何やら、様々な音が流れ。
[メイン] GM : 『…………も、もしもし……』
[メイン] GM : ─────それは、聞き慣れた声であった。
[メイン]
丈槍 由紀 :
……?学校?
と、首を傾げた時間はすぐに終わり。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「────晶くん!?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 『…………は、い……』
[メイン] 丈槍 由紀 : バっとスマホを両手でつかみ、スマホの画面をじっと見つめる。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : とても、小さな声で。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 『……………そ、その………』
[メイン]
丈槍 由紀 :
「う、うん!今どこにいるの!?
みんな晶くんのこと、探してて……!!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 『………………』
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : しばしの、沈黙。
[メイン] GM : 電話の向こうで、様々な音が流れているため、静寂ではない、が。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 『…………すみま、せん……少し、声が、聞きたかった、だけです……』
[メイン] GM : ─────そして電話は、切られた。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「…………あ、晶────」
[メイン]
丈槍 由紀 :
言い切る前に、ぷつん、と。
[メイン] 丈槍 由紀 : 端末の画面は黒くなって。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「り、履歴履歴!……あっ、非通知だから返せないよ……!
そんなぁ……」
[メイン] 丈槍 由紀 : 肩をがっかりと落として、スマホを握っていたが。
[メイン] 丈槍 由紀 : ……でも、よかった。
[メイン]
丈槍 由紀 :
声が聞きたかったのは……私も同じだから。
ひとまずは、危ない目に合ってるわけじゃなさそう。
[メイン] 丈槍 由紀 : ふう、と胸を撫で下ろし。
[メイン]
丈槍 由紀 :
……ただ、いずれとして、晶くんの場所がわからないのは、事実。
さっきから思う不安も、今は置いておこう。
[メイン]
丈槍 由紀 :
晶くんだって、何かの事件に巻き込まれて、辛い思いをしているのかもしれない。
そのためには、やっぱり、会ってみたい。
[メイン]
丈槍 由紀 :
そう、改めて頷いて。
ゆっくりと膝を真っすぐにして、桃、千代の二人を待った。
[メイン] 丈槍 由紀 : ”あの時”のような、事件じゃないでほしい────と、心の中で願いつつ。
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] GM : 由紀先生はアイデア判定
[メイン] 丈槍 由紀 : CCB<=70 アイデア (1D100<=70) > 5 > 決定的成功/スペシャル
[メイン] 丈槍 由紀 : 先生の力だ~~~~~!!
[メイン] GM : 電話の先から聞こえた音に、由紀は、どこか覚えがあるような気がした。
[メイン] GM : いびきの声。今流行りの音楽。そしてキーボードを叩く音。
[メイン] GM : ─────ネカフェである。
[メイン]
丈槍 由紀 :
……ううん、学校じゃない。
これは……一回行ったことある。
[メイン]
GM :
さらに、電話の向こうで、別客の話声も聞こえた。
その客は、関西弁であり、そしてこのネカフェ近くの観光名所を楽しんだといった旨の声が、うっすらと聞こえたような気がした。
[メイン] GM : ─────向かおうと思えば、いつでも向かえるかもしれない。
[メイン]
丈槍 由紀 :
これは、もしかして……。
彼の居る場所の……!
[メイン]
丈槍 由紀 :
ごくり、と息を呑み。
すぐさま、ベックマンさんに場所を連絡する。
[メイン] 丈槍 由紀 : ぎゅっとスマホを握り、二人に声を掛け────。
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン]
ベックマン :
[メイン] ベックマン : キラリ、と端末が着信を知らせる
[メイン] ベックマン : 「あー……ネカフェに来て?か……ちょっと待て奈良に来ちゃってるし死にかけたんだが…」
[メイン] ベックマン : 「……は、まァたまにはこうやって振り回されるのもいいか」
[メイン]
ベックマン :
頭を掻き、目的地とされたネカフェへ向かう。
……美術館は、また後で考えるとしよう
[メイン]
ベックマン :
[メイン]
ベックマン :
[メイン] 丈槍 由紀 : ────ゆらゆらと、電車で揺れたこと、数時間。
[メイン] 丈槍 由紀 : 到着したのは、駅からそう離れてもいない、一つのネカフェ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
平日の夕方だが、どうやらまばらに人はいるようで。
入店する前から音が少し漏れている。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「一回しか行ったことがないので……ドキドキする……!
よ、よぅし二人とも!ネカフェに入るときは、作法は必要ないからね!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 二人にガッツポーズを見せつつ。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………」
ちょっと面白いのでそのまま様子を見ている。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「ふむふむ」
ネットカフェに来るのは初めてだけど、なんだか楽しそう。
[メイン] 丈槍 由紀 : それじゃあ入店!に目を向けながらけながら、そのまま入っていき。
[メイン] GM : 幸運判定
[メイン] 丈槍 由紀 : CCB<=80 幸運 (1D100<=80) > 2 > 決定的成功/スペシャル
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「─────あぇ」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 簡単に、晶と再会した。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : その手には、ドリンクバーから持ってきたものであろう、お水が。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「せ、せせせせ、先生っ………!?!?!」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「────由紀先生ですよぉ~~~!!
晶く────むっ!?」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「あ、あれ、なんで、どうして、お、おかしい……
う、嘘だ、あわわわ………」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 晶は狼狽した様子で、慌ただしく視線を動かしていた。
[メイン] 丈槍 由紀 : 手を拡散機のように当て、大声で生徒と先生の名前を叫ぼう────とした矢先。
[メイン]
丈槍 由紀 :
叫びきる前に、晶とばったり遭遇した。
もっとも今の声で他の客にも由紀の大声が届いたかもしれないが。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「そ、そのっ………!丈槍先生………!し、しぃーー……!
こ、ここ、ネットカフェ、なので……!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 口元に人差し指を立てながら。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「あ、ああ、あと、そ、それとっ………!
……か、帰って、くださ、い……!だめ、です……!」
[メイン] 丈槍 由紀 : あわわわ、そっか、そだね!と口をバッテンにした手で押さえ。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「むっ……それは、晶くんの邪魔、しちゃったから……かな?」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………そ、それは………い、言えません……!
……えっと、えっと、えっと……い、家出、ですっ……」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「…………」
[メイン]
丈槍 由紀 :
すとん、と。
小さな体を、近くの椅子に下ろし。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……私は、教師だから。
晶くんのやりたいことを邪魔するつもりはないよ」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……………!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : ごくりと、唾を飲み込み、先生をじっと見つめ。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「もし、家出を続けるつもりがあるなら……私が親御さんや、学校には……何とかしてみる」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……ただ」
[メイン] 丈槍 由紀 : 見つめられた目に、頷き返して。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「その理由は、教えて欲しいな。
ここまで、晶くんを心配に見に来てくれた人は私だけじゃないしね」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………え………」
[メイン]
丈槍 由紀 :
ちらり、と後ろを見て。
桃、千代に手を振って笑いかける。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………。」
ぺこりと晶に向かって礼をし、隣の千代を見る。
……さすがに私は一度話したきりだし、少し気まずい。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……さ、佐倉さん、千代田さん……ど、どう、して……」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 低身長なので手を大きくブンブンと振っている。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : それを見て、恥ずかしそうに視線を逸らしながら、猫背姿勢に。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「行方不明って聞いたから探しに来たんだよ!でも無事で良かった~」
まくし立てるように話す。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「桃ちゃんも由紀先生も心配してたんだよ」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「…………そ、それ、は………」
[メイン] 丈槍 由紀 : 二人の様子に、ふふ、と口に手を当て笑いながら。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………すみま、せん、でした……」
おずおずと、頭を下げながら。
[メイン] ベックマン : ────バタンっ!突如一つの個室の扉が勢いよく開けられ、中から男が飛び出してくる。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「こういうときは謝るんじゃなくて、ありがとう。だよ!」
[メイン]
千代田 桃 :
「……ううん……まあ、私は最初は成り行きだったけど……色々と聞いてたら、ちょっと心配になったというか…」
……う。……気持ち悪いかな、この言い分……
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「!?!?!?!?」
[メイン] ベックマン : 「悪いな先生!細かい話は後だ!すぐにここから移動しろ!」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
千代と桃の言葉に、少し頬が赤くなっていたところに
ベックマンの登場に、目を大きく見開かせる。
[メイン] 千代田 桃 : 「ふぇっ」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「え!?用務員の先生!?なんでこんなところに!?」
[メイン] 丈槍 由紀 : 桃ちゃんも千代ちゃんも優しいんだものね~、なんて呟いていた矢先。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……へっ!?えっ、あっ!?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「…………………は、い」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……その、先生、佐倉さん、千代田さん」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………どうか、このまま、引き返して、ください……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 頭を、深々と下げる。
[メイン] ベックマン : 「……ん?晶はともかく何でうちの生徒がこんなところに…ともかく全員早く帰れ帰れ!ここももうじきサツが到着する!狙いは多分…晶だ!」
[メイン] 千代田 桃 : 「え……ちょっと、何で……」
[メイン]
丈槍 由紀 :
一瞬戸惑うが、すぐに真剣な顔になり。
彼が言うくらいだから、きっと何か、大きい物が起きているのでは。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……!?」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「…え?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………………」
[メイン] 丈槍 由紀 : 晶とベックマンの言い分に、ごくりと息を呑むが。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : せっかく再会出来たのに、なんで?
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……帰れません!!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「…………っ!?」
[メイン] ベックマン : 大げさに、身振り手振りを交え、帰ることを即す。
[メイン] 丈槍 由紀 : ぎゅっと、晶の腕を掴み、ベックマンに目を向ける。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「だ、だめですっ………!そ、その……ぼ、僕は
……ここに、いなくちゃ、いけなくて……」
あわあわと、ヘタクソな言い訳で。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「っ…………!?!?み、皆さんは、関係が、無いと、言いますか……!
と、とにかく、ぼ、僕とは、た、たたた、他人のフリを、ど、どうか……!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……ベックマンさん、どこに行けばいいんですか!」
[メイン] ベックマン : 「……まー、先生ならそういうと思ったが今回は違うんだよ。本気で人の生き死にがかかってる。このままじゃそこの生徒も全員………死ぬかもしれねェぞ」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「!? た、丈槍先生……!?
………ぁ、う、ぅ……」
[メイン] 丈槍 由紀 : と、いい、ちらりと晶に目を向ける。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………。」
困惑と焦りの混じった苦い顔をする
[メイン]
ベックマン :
懐からエアガンを取り出し、自分のこめかみに当てる。
「おれも危うく撃たれるところだった…警察にな」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「……………………」
ベックマンの、その仕草を見て、晶は、静かに目を閉じ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……猶更、だよ
あなたが一人で悩んでいるなら、例え何か危険なものがあっても、私にはわからない
だから……」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「え、ええ…!?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 額に、脂汗を滲ませながら、ゆっくりと、口を開く。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「…………ごめん、なさ、い」
[メイン] 丈槍 由紀 : ベックマンの言葉に、っ、と口を塞ぎ。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 危険とは聞いていたけど、予想以上の事が起こってる!?
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……そ、その、嘘はもう、やめます……な、なので」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………僕の話を聞いて……それで……どうか
……皆さん……すぐに、他人の、フリを……」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
由紀、千代、桃、ベックマンの4人を
黒い、小さな瞳で順々に見やりながら。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : そうして晶は徐に、バックに手を伸ばし、チャックを開けると。
[メイン] 千代田 桃 : 「な……」
[メイン] GM : 拳銃と、地獄草紙があった。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「…………」
晶の顔、そしてバックに目を向けて。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「……………………そ、その、え、えっと
ど、どう説明すればいいか、ちょ、ちょっと、その……
う、うぅぅ、ごめんなさい……」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……これ、は…?」
[メイン] ベックマン : 「……そいつは、おれが行った美術館に飾られていた国宝…地獄草紙、か」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
晶は、勉強が不得意、そしてコミュニケーション能力も乏しい。
うまく言葉が紡げずにいて。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : そしてベックマンの言葉に、こくりと、頷く。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 小早川くんの鞄から出てきたものに目を見張る。
[メイン] ベックマン : ふむ、とエアガンを仕舞い、あごに手を当て、熟考する
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……大丈夫。ゆっくり、落ち着いて」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「っ……!は、はひっ」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 由紀の言葉に、こくこくと頷きながら。
[メイン]
丈槍 由紀 :
晶ににこっと微笑ながら。
しんこきゅー、と、小さく体を動かして。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 由紀の真似をするように、おずおずと深呼吸をしながら。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………」
その、説明──と、慌てて問い詰めようとしていたところを踏みとどまる。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「……………ぼ、僕と……け、けけけ、警察官の、方と……
……こ、これを………」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 脂汗は、滲み出続ける。
[メイン] ベックマン : 「………ああ、なるほど。やはり強盗は警察、いや、国によって仕組まれた物ってことか?」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「…………」
こくりと、ベックマンに、頷く。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……………人を、僕は……殺して……うっぷっ……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 吐き気を抑えるように、口元に手を当てながら。
[メイン] ベックマン : 「へェ………じゃあここで話を聞いたおれたちを国が生かしてくれるとも思えねェなァ…?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「! で、ででで、ですのでっ……!!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「し、知らないフリを、ど、どど、どうか……!」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 人を殺したって、やっぱり本当なの…?
[メイン]
丈槍 由紀 :
……そんな壮大な話が……。
しかし、ベックマンさんが”撃たれる前だった”の言葉に、息を呑み。
[メイン]
ベックマン :
決意をし、男は表情を固める。
「晶、その鞄をこっちに渡せ」
[メイン] GM : ─────引き返すなら。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「…………」
ぎゅっと彼の手を握り、背中を優しく撫でつつ。
[メイン] GM : きっと
[メイン] GM : 今。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「っ………!ベ、ベックマン、さん……!?
ど、どう、して……!?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 由紀に手を握られ、弱々しい表情をしながら。
[メイン]
ベックマン :
「今更ここまで来て引き返さねェよ……こっから先はおれ一人でいい」
「……それに、おれは警察官に顔を覚えられちまってるからなァ…」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「ぁ……ぅ、ぅぅ………」
[メイン] 千代田 桃 : 「……たった一人で国家権力を敵に回すつもりですか」
[メイン]
ベックマン :
鞄を強引に掴み、言う
「お前らはさっさと帰れ…これ以上首を突っ込むな」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「…………」
ベックマンが、見たことのない程険しくなっていることに気づき。
ごくりと息を呑み。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……桃ちゃん、千代ちゃん……
あなた達はどうしたい?」
[メイン]
丈槍 由紀 :
店内では、ガチャガチャと電子音楽が鳴る中。
その空間だけは、どこか無音のように思える。
[メイン]
丈槍 由紀 :
ちらり、生徒である少女二人を見つめる。
この先も共に行くとなれば────生徒ではなく。
”犯罪者”として、認定されてしまうかもしれない。
[メイン]
ベックマン :
ふぅ、と息を吐き、どこか遠い目をしながら。
「………家族が、友達が、大切な人が、お前らにはあるだろう?」
……そう、言葉を紡ぐ
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 覚悟はしてきたつもりだった。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : だけど、警察が強盗とか信じられないワードが飛び出してきて混乱している。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : それに…小早川くん本人の口から''殺した''って…。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「う…」
用務員さんの言葉もその通りだ。私には家族がいるし、友達や大事な人もいる。
[メイン]
千代田 桃 :
「………………。」
……自分ひとりが立ち向かって死んだところで、自分一人悲しむのなら構わない。
[メイン]
千代田 桃 :
…………でも、立ち向かおうとするなら……残されたものの気持ちを。
逃げようとするなら……立ち向かおうとするものの気持ちを。
私が──殺すことになる。
[メイン] 千代田 桃 : 誰の命が大切か、誰の気持ちが大切かなんて、中学生の私には決められない──なら。
[メイン] 千代田 桃 : 「……先生は、どうしてそう決断できるんですか。」
[メイン]
丈槍 由紀 :
生徒からの質問を受ける。
先生は、生徒からの問いに答える義務がある。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 桃ちゃんの方に視線を向けたあと、由紀先生の方を見る。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「私は、目指している人がいるんです
……同じ先生なんですけどね」
[メイン] 丈槍 由紀 : ここだけの秘密だよ?と、指に手を当てながら。
[メイン] 千代田 桃 : ……神妙な顔で頷きを返す。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「まるで友達みたいに、生徒と仲良くなって……
辛い時も、苦しい時も、問題にぶつかった時も……
一緒に悩んで、解決する」
[メイン] 丈槍 由紀 : そんな先生が憧れでした、と続けて。
[メイン] 丈槍 由紀 : 桃色の瞳を、桃に向き返す。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「……………………」
瞳が揺れる、潤む。口を結びながら。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「色んな迷いや考えがある中。
一緒に共有し合って、一人じゃない、と思えたら……」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「生徒の、あなただけの気持ちを尊重してほしい」
[メイン]
丈槍 由紀 :
その目は、晶、桃、千代。
みんなに向けて。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : その言葉に、晶は、ぼろぼろと涙を溢し始める。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「あなた達が迷っているのは、優しいから。
どんな選択をしても、周りの人は絶対、”正しい”と言ってくれますよ」
[メイン] 丈槍 由紀 : にこっと微笑んで。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「だって、私がそう言うもの!」
[メイン]
丈槍 由紀 :
私が苦しかったとき、一緒に、その選択を尊重してくれた先生のように。
”あなた達の先生”でありたい。
[メイン] 丈槍 由紀 : 生徒と同じくらいの小さな体は、小さく、けれどしっかりと笑って。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………。」
……そんな正面からの純粋な気持ちにあてられて残った気持ちは……ひどく浅はかで、醜くて、利己的で。
……まるで……それを否定して欲しいかのように。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………それなら。」
下唇を噛む。ふつふつと感情が湧き上がる。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………それなら……ッ!!私が先生と千代を力ずくでもここから連れ帰る、と言うのなら……!!」
「あなたの生徒を守りたい、と言う気持ちと矛盾する気持ちすらも……!!あなたは、それすらも肯定する覚悟があるんですか……!?」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「桃ちゃん…」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「………………桃、ちゃん」
[メイン] 千代田 桃 : 「……私は……ッ!!私の好きな人を失いたくない……!!」
[メイン] 千代田 桃 : …………もう、これ以上。
[メイン]
丈槍 由紀 :
普段感情を見せない、無表情そうな彼女。
しかし────その中には、しっかりと。
桃色の溢れんばかりの感情が、見える。
[メイン]
ベックマン :
ククッ…思わず笑みが零れる。
「いい生徒を持ったじゃねェか、由紀先生?」
[メイン] ベックマン : 「さ、応えてやれよ。おれは"一人でいい"って言ったはずだぜ?」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……はい。私の生徒は、とってもとっても……優しい子です」
[メイン] 丈槍 由紀 : こく、とベックマンに頷き。
[メイン]
千代田 桃 :
……ただ、先生の顔だけをじっと睨むように見る。
……こんな顔、他の人たちに……顔向けできない。
[メイン] 丈槍 由紀 : 椅子から降りて、見つめられる桃に、近づく。
[メイン] 千代田 桃 : 「……!」
[メイン] 丈槍 由紀 : そして、その手を両手で握りしめて。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「まず、ありがとう。その気持ちを……私にぶつけてくれて
それが、あなたの気持ちだって教えてくれて」
[メイン]
千代田 桃 :
「…………」
……少しずつ、少しずつ、身体が弛緩していくのがわかる。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……あなたがこんなに言ってくれるほど……
先生としてこれ以上ないくらい嬉しいです!」
[メイン] 千代田 桃 : 「…………っ…!!」
[メイン] 丈槍 由紀 : そのリズムに合わせて、ゆっくり、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……あなたの気持ちと、私の気持ち……
それが矛盾してしまうなら、私は……」
[メイン] 丈槍 由紀 : 握ったままの手を、ゆっくりと上げて。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「肯定してみせます」
[メイン] 千代田 桃 : 「!」
[メイン] 丈槍 由紀 : でも、と晶くんの瞳を見つめる。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「…………っ」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
体がびくっ、と跳ねる。
目を、パチパチとさせながら。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………」
そちらを見る勇気も資格も、今の自分にはない。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……私は、みんなの生徒を守りたい。
約束した以上、例え、一緒に連れて返ったとしても……諦めませんよ!」
[メイン] ベックマン : 「クッククク……ハハハハハハハ……!全く!こんな状況でそんなことが言えるなんてすげェ先生だよアンタは!!!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「みんなを守る先生は、そう簡単に失われません」
[メイン] 千代田 桃 : 「…………っ」
[メイン]
丈槍 由紀 :
ベックマンの声に、えへへ……と恥かしげに頬を掻くも。
じっと、桃の瞳を見つめて。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「せんせ、ぇ゛………ぅ、うぅっ………!」
涙は、止まらない。
[メイン]
ベックマン :
……鞄を奪い取り、拳銃を取り出し、弾を込める。
………周りの人間にも、見せつけるように
[メイン] ベックマン : 「なぁ…桃って言ったか?本当に、先生を守りたいんだな?」
[メイン]
千代田 桃 :
…………思い知らされるな。
……いつも子供みたいな先生でも……本当は、立派な大人で。
……私なんて、まだまだちっぽけな子供なんだ……ってこと。
[メイン]
丈槍 由紀 :
よしよし、男の子なんだから泣かないの。
と、晶の涙を、ハンカチで拭きつつ。
[メイン] ベックマン : 拳銃を、地面に向ける
[メイン] 千代田 桃 : 「…………は、はい……っ」
[メイン] 千代田 桃 : 「……!」
[メイン] ベックマン : 「じゃあ、その約束、守ってくれよ?」
[メイン]
ベックマン :
床に発砲し、叫ぶ
「てめェらァ!今すぐ全員ここから出ていけェ!!!!」
[メイン]
GM :
「ひぃいいいいいっ!?!?」
「な、なんだ!?一体なんの音だ!?」
「じ、銃声!!?!?」
[メイン] 丈槍 由紀 : ひゃっ!?と悲鳴を上げ、咄嗟に晶を庇う。
[メイン] 千代田 桃 : それに応えるように、潤んだ瞳の中で思い切り歯を食いしばり。
[メイン]
GM :
発砲音に、周りの客達は怯え、騒ぎが始まる。
銃を片手に持つ男を見て、一般人達は悲鳴が
一気に、パニック状態と化す。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「へ?」
ベックマンの突然の行動に変な声が漏れてしまう。
[メイン] 千代田 桃 : ──きっと、今しかない。
[メイン] ベックマン : 「さぁさっさと出ていけェ!!!じゃなきゃ撃ち殺すぞォ!!!!そのガキも!女も!!!殺されたくねェなら連れていけェ!!!」
[メイン]
千代田 桃 :
「────だああああああッ!!!」
二人の手を一気にぎゅいん、と引いて出口へと走る。
[メイン]
GM :
「う、うわあああああああああああああああ!?!?」
「ご、強盗だ!?!!?!?」
「助けてくれええええええええ!!!!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「わ、わぁあああっ!!!」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「ちょっ!?桃ちゃん…!?」
[メイン]
丈槍 由紀 :
そういえば、桃ちゃんって、すっごい力────!
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 小柄な身体で抵抗出来るはずもなく引っぱられていく。
[メイン] 千代田 桃 : …………救われた命。彼の気持ちの一滴たりとも、無駄にできない。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「なっ……な………!?い、一体、こ、ここ、こ、これ、は……!?」
口をぱくぱくとさせながら。
[メイン]
丈槍 由紀 :
咄嗟に、晶の手を握り、一緒に逃げようとするも。
それすらも軽々と、桃の前では抵抗も全て引っ張られていく。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「─────っ!!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 晶は、由紀の手に引っ張られ、連れていかれる。
[メイン]
ベックマン :
「………さ、最後の一仕事だ」
自身が持つ知識を使い、籠城の準備をする。
[メイン] GM : ─────パチ、パチ、パチ、パチ、パチ。
[メイン] GM : 拍手の音。
[メイン] GM : 「─────最っ高ですよぉ」
[メイン] 警察官 : 「いやぁ~~」
[メイン] 警察官 : 「なんて素晴らしいのでしょうか」
[メイン]
警察官 :
真っ黒な瞳の青年が、現れ
そしてその背後には─────追加の、5~6人の警官が。
[メイン]
ベックマン :
「ちっ…見てやがったのかテメェ」
鞄から地獄草紙を取り出し、突きつける
[メイン] ベックマン : 「なーにが3日後に再展示だ、全く。そんな未来はねェよ…ここでこいつは消し炭になるんだからな」
[メイン] 警察官 : 「あはははは~~~~!」
[メイン] 警察官 : てへぺろ。
[メイン] 警察官 : 青年は、舌を出し、ウインク。
[メイン] 警察官 : 「バレちゃいました~」
[メイン] 警察官 : 「─────いやはや、ですがですが、状況は好都合ですね~」
[メイン] 警察官 : 「ネカフェで暴れ回る男が一人」
[メイン] ベックマン : 「お前らは…これが欲しいんだろ?そしておれはお前らに一泡吹かせてやりてェ」
[メイン] GM : ─────警官らは、一斉に銃口をベックマンに向ける。
[メイン] ベックマン : 「撃てよ。その前にこいつは炭だ」
[メイン] 警察官 : 「そうですかぁ」
[メイン] 警察官 : CCB<=80 拳銃 (1D100<=80) > 77 > 成功
[メイン] 警官 : CCB<=80 拳銃 (1D100<=80) > 46 > 成功
[メイン] 警官(1) : CCB<=80 拳銃 (1D100<=80) > 39 > 成功
[メイン] 警官(2) : CCB<=80 拳銃 (1D100<=80) > 62 > 成功
[メイン] 警官(3) : CCB<=80 拳銃 (1D100<=80) > 62 > 成功
[メイン] 警官(4) : CCB<=80 拳銃 (1D100<=80) > 44 > 成功
[メイン] GM : 6回、回避判定どうぞ
[メイン] ベックマン : x6 CCB<=70 見聞色の覇気 #1 (1D100<=70) > 67 > 成功 #2 (1D100<=70) > 89 > 失敗 #3 (1D100<=70) > 48 > 成功 #4 (1D100<=70) > 19 > 成功 #5 (1D100<=70) > 46 > 成功 #6 (1D100<=70) > 30 > 成功
[メイン] ベックマン : 1d10 (1D10) > 7
[メイン] system : [ ベックマン ] HP : 7 → 0
[メイン] GM : ─────銃弾は、胸を貫いた。
[メイン]
ベックマン :
「ガッ……!」
胸を押さえ、崩れ落ち、倒れ────ない
[メイン]
ベックマン :
「全く……遠慮なく……撃ちやがって」
「だが…………最後に一泡吹かせてやるよ……!」
[メイン] 警察官 : 「………おやおやおやぁ~」
[メイン] 警察官 : 歪んだように、口角が吊り上がり
[メイン] 警察官 : 最期の姿を、じっと、その真っ黒な瞳で、見つめ続ける。
[メイン] ベックマン : 手にしていた血濡れの地獄草紙をもう一度強く掴み───銃で撃ち抜く
[メイン] GM : 国宝は
[メイン] GM : 炭と化した。
[メイン] 警察官 : ぷるぷると肩を震わせながら。
[メイン] 警察官 : 「─────あっはっはっはっはっはっはっは!!!!」
[メイン] 警察官 : 「最高ですよぉ!!!あなた、最高すぎませんかぁ!?!?」
[メイン] 警察官 : 「あっはっはっはっは!!こ~れ~は~!やられてしまいましたねぇ!!」
[メイン]
ベックマン :
「じゃあ……な……クソっ……た……」
最期の言葉を言い切ることなく、うつ伏せに倒れこむ。
───既に目に光はなく、指の一本すら動かせず。
[メイン] ベックマン : それでもその目は……黒目の警察を、見据えたまま。
[メイン] 警官 : 「………どうします」
[メイン] 警察官 : 「振り出しだねぇ~」
[メイン] 警察官 : 「あっはっはっはぁ!いやーでも、いいよ、うんうん」
[メイン] 警察官 : 「─────こんなにも、胸が躍ったのは、久々だ」
[メイン] 警察官 : じろりと、黒の瞳は、外へと向けられる。
[メイン] 警察官 :
[メイン] 警察官 :
[メイン] 警察官 : 「─────あの子達は、愉しませてくれるのかなぁ?」
[メイン] 警察官 :
[メイン] 警察官 :
[メイン] 警察官 :
[メイン]
千代田 桃 :
[メイン]
千代田 桃 :
背中越しに伝わる衝撃。
いくつかの銃声の後、どさり──と鈍い音。
[メイン] 千代田 桃 : それでも、振り返るわけにはいけない。
[メイン]
千代田 桃 :
──約束したのだから。
[メイン]
千代田 桃 :
[メイン] GM :
[メイン]
GM :
─────後日、本事件は、立てこもり事件として処理され
軽くニュースで流れる程度で終わることとなる。
[メイン] GM : 冒険者の"真実"を知るのは、あなた達しかいない。
[メイン] GM : 再び問おう。
[メイン]
GM :
引き返すなら、きっと、今。
─────それでも、前に進むのか?
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] 丈槍 由紀 : ────夜、日差しは落ちて、ぽつぽつと人工の光で町が照らされる。
[メイン] 丈槍 由紀 : 人々がおのおのの家に帰る、一日の終わりの落ち着いた時間に。
[メイン]
丈槍 由紀 :
せわしなく、町の中をぱたぱたと走り回る足音。
4人の音が連なるそれは、勢いが衰えていき。
[メイン] 丈槍 由紀 : そして、路地裏に消える。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……ふぅ、ふぅ……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「は、はぁっ……はぁ……!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 肩を上下して、息がすっかり上がった様子で、壁にもたれかかる。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
ぜぇ、ぜぇ、と呼吸を荒げ、肩を大きく上下させる少年。
額には、これでもかという程の汗。運動不足だ。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………っ……」
ようやく落ち着いて、自分たちの安全を確かめるように周囲を見渡す。
[メイン]
GM :
─────パトカーのサイレンの音は聞こえない。
しばらくは、誰もこの場所に来ないだろう。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 青ざめた顔をして路地裏へ向かう。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「体育教師じゃないよ、私はぁ~……こんなに走ったのも久しぶりだよ~……」
あはは、と生徒たちに笑いかける。
[メイン] 丈槍 由紀 : しかし、その顔には……汗がびっしょりと。
[メイン]
千代田 桃 :
……ふぅ、と大きく息を吐く。
「……流石に、この距離なら問題ない……はずです。……念の為、警戒はしておきますが」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「…………………」
ちらりと由紀を見て、眉を顰め、口を結びながら、視線を逸らす。
[メイン] 千代田 桃 : 「……無理をさせてしまいましたね」
[メイン] 丈槍 由紀 : その汗は、運動疲れによるものが大きいわけではないだろう。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 少年の手は、脚は、小さく震えていた。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………また、僕は……もしかしたら、人を………」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「ううん、桃ちゃんがいっぱい引っ張ってくれたから……
みんなに追いつけられたんだよ」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「晶くん」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「っ……」
[メイン] 丈槍 由紀 : 彼の頭に、背伸びしてぽんと手を置いて、撫でる。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「ぅ、ぁぁ……」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……ベックマンさんは……晶くんにそんな想いをさせたいわけじゃないだろうから
今は……安心して、私たちがついてるもの」
[メイン] 千代田 桃 : 「……」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「……………は……い……」
顔は俯き、目元に影が差す。
[メイン] 丈槍 由紀 : 頭は撫でつつ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
しかしちらりと、二人の生徒を見る。
────桃、千代の方へと。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……お二人は、どうしたいですか?」
[メイン] 千代田 桃 : ぴくん、と耳を動かす。
[メイン] 千代田 桃 : 「……"どうしたい"……?」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 息を整えながら、由紀先生の方に顔を向ける。
[メイン]
丈槍 由紀 :
じっと、桃色の眼差しを向ける。
先ほどの笑みとは打って変わって、真剣な眼差しを。
[メイン] 千代田 桃 : 息を整える千代の方を心配そうにちらり、と見てから、由紀に視線を戻す。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……お二人には無理を言って付き合わせてしまって、すみません
ですが、ここからなら……まだ、日常に戻れます」
[メイン]
丈槍 由紀 :
ぺこ、と頭を軽く下げて。
そして視線をまた、二人に合わせる。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「警察も、あなた達が関わっている証拠もなしに手を出すことはしないはずです
ですから、今日の出来事を飲み込んで、学校生活に戻れます」
[メイン] 千代田 桃 : 「……。」
[メイン] 千代田 桃 : 「……"お二人"。……それって、つまりさ」
[メイン]
千代田 桃 :
「……裏を返せば、先生にはまだ戻る気はない……ってこと、ですよね。」
意図せず少し語気が荒くなる。
[メイン] 千代田 桃 : 「このまま、これで終わらせて、全員──いや。……今ここにいる人たちで平穏に戻る……つもりは、ないんですか」
[メイン]
丈槍 由紀 :
桃の言葉に、こくりと頷く。
荒くなっているそれも、受け止めて。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……私は教師として、生徒である晶くんの平穏を取り返さなくてはなりません」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「一人ぼっちで悩んでいる生徒がいるなら……先生としても、私自身でも
その問題に向き合って、解決したいんです」
[メイン]
丈槍 由紀 :
つまり、由紀は。
桃、千代、そして晶。三人が無事に学校生活を送れるようになるまで、戻るつもりはない、ということ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
由紀自身も、最初はここまで大事になるとは予想していなかったのかもしれない。
相手は警察という国家権力────頼る相手が、信用できないのだ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
しかし、そんな中だとしても。
由紀はまだ諦める意志は見せていなかった。
[メイン] 千代田 桃 : 「…………。」
[メイン]
千代田 桃 :
「……簡単な算数もできないんですか、本当に」
苛つくように爪先を地面にとんとん、と打ちつける
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……桃、ちゃん……」
[メイン] 千代田 桃 : 「…………。そりゃ……私だって助けられるものなら助けたいです。……自分と重なるところも、ある気がしますから」
[メイン] 丈槍 由紀 : こくり、頷き。桃の話に耳を傾ける。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………でも、見たでしょ。先生だって」
「……私たちの中で一番強かった彼だって、あっけなく」
[メイン]
千代田 桃 :
「死んだ」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「…………」
[メイン]
丈槍 由紀 :
ぎゅっと、手を握りこむ。
ぬるりと汗で冷えていた。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………。」
きゅう、と下唇を噛む。
[メイン] 千代田 桃 : 「…………先生一人どころか、私たち全員でかかったって全く歯が立たないような状況にあって。……彼の死を、意思を、無駄にするつもりですか」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……桃ちゃんの言う通りだよ」
[メイン] 丈槍 由紀 : 手は握ったまま、じっと桃へと目を向ける。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「ベックマンさんはいい人でした。
学校を綺麗にするために汗を流して。生徒たちともよくお話する、心意気のいい方でした」
[メイン]
千代田 桃 :
「…………。」
少し俯く。
[メイン]
丈槍 由紀 :
私も軽口を言い合えるほど、仲が良かった。
先生でもないのに生徒のために頑張ってくれる人も、今時珍しい。
[メイン] 丈槍 由紀 : 彼の事を思い返して、目が少し桃から逸れる。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……ですが」
[メイン]
千代田 桃 :
「……だったら」
口を挟み掛けて、由紀の言葉には……と立ち止まる。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「ベックマンさんがああ動いてくれたのは……
皆さんを悲しませるためではないですから」
[メイン] 丈槍 由紀 : 目をよろよろと上げて、桃に向き直り。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……少なくとも、ここで終わらせてしまっては
それこそ、ベックマンさんの死が……意味がなくなってしまいます」
[メイン] 千代田 桃 : 「…っ……」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……桃ちゃん、私は悪い教師でごめんね
あなたがしたいことを、叶えられないかもしれない」
[メイン] 丈槍 由紀 : 少し、頬を挙げて笑みを浮かべて。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「でも、私は……絶対に、みんなの前からいなくならない
……ベックマンさんにそう誓うよ」
[メイン] 千代田 桃 : ……対照的に、どうにかなってしまいそうな表情を前髪で隠して。
[メイン] 丈槍 由紀 : それにね、と言葉を繋げて。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「ここまで連れてきて、身勝手かもしれないけど……
私は、桃ちゃん、千代ちゃんに……危ない橋を渡って欲しくない」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「もしそんな事があるなら、私は……
この事件に、一人で向き合います」
[メイン]
丈槍 由紀 :
……怖い、わけがない。
さっきまで一緒に話していた人が、もう二度と会えない、ということ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
こんな体験は二度もないと思っていたはずなのに。
……引き起こしてしまったのは、私自身の未熟さだ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
でも、私は……向き合いたい。
……生徒たちの日常のため、ここで降りるなんて、私は出来ない。
[メイン]
丈槍 由紀 :
そうして、桃の顔に桃色の目を向ける。
表情は、柔らかいままに。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………。」
…………そんな目で見ないでよ、先生。
[メイン]
丈槍 由紀 :
そして、空を見上げる。
空はすっかり真っ黒で、星もちらほらと見える。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……もう、こんな遅い時間になってしまいましたね」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「もう、下校の時間もとっくに過ぎてます
……桃ちゃん、千代ちゃん、帰っても……大丈夫ですよ」
[メイン]
丈槍 由紀 :
言葉を、ゆっくり、呟く。
……二人には、いっぱい迷惑をかけてしまった。
迷惑料としては、あまりにも苦しい。
[メイン]
千代田 桃 :
…………嘘だ。
嘘だ、嘘だ、嘘だ。
…………本当に一人で大丈夫なら、"帰っても大丈夫"だなんて…………言うはずがない。
[メイン]
千代田 桃 :
……それでも、先生の気持ちは変わらないのを察して。
……せめて、どこかに救いを求めるように、千代の方を見る。
[メイン]
丈槍 由紀 :
にっこり、笑顔を向けたまま。
……握る手は震えている。桃の洞察通り、かもしれない。
[メイン]
丈槍 由紀 :
桃の視線に合わせるように。
ゆっくり、千代へと目を向ける。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 桃ちゃんと由紀先生、2人の視線を受けて、それに応えるように口を開く。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「…帰るなら、みんなで帰るべきだと思います」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : もう誰も欠けるのはいやだ。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「だから、先生が行くなら、私は着いていきます」
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
桃ちゃんは必死に止めようとしてくれてるのはわかってる、けど。
用務員さんがあんな行動をしたのは、私がモタモタしていたのも一因だと思う。
また選択を先延ばしにして、それで桃ちゃんや、由紀先生がいなくなったら…私は耐えられない。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……へっ……」
[メイン] 千代田 桃 : 「……っ…!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 目を丸くして、ごくりと息を呑む。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : それに、小早川くんのことも信じたかったけど、今の私には…。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : チラリと小早川くんの方に視線を向ける。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………ち、千代、さん……」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : ニコリと愛想笑いをして誤魔化す。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「…由紀先生一人だけだと心配なんです」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : …生徒を信用しすぎてるところがあるから、とは口に出さず。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「あはは……千代ちゃんにはかなわないなぁ」
[メイン] 丈槍 由紀 : 恥ずかしげに、頬を掻き。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……ここから先は、千代ちゃんも危ないよ?」
[メイン]
丈槍 由紀 :
じっと彼女を見つめ、確認をする。
由紀の、先生として、大人としての問い。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「だったらなおさら由紀先生を一人で行かせられるわけないじゃないですか」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「危険だって、一番わかってるの、由紀先生じゃないですか」
[メイン] 丈槍 由紀 : う、痛い所を突かれちゃった。
[メイン] 丈槍 由紀 : 千代に、もう一度目を向ける。
[メイン]
丈槍 由紀 :
彼女の紫の瞳には、熱意が点っていた。
どんな絵にも負けない、鮮やかなパープルの色。
そこが今は、どうにも輝いて見えて。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……わかったよ」
[メイン] 丈槍 由紀 : こく、と頷いて。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「私も実は一人じゃ……不安だったからさ
あっ、もちろん、晶くんも一緒だけどね?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……………」
[メイン]
丈槍 由紀 :
ぎゅっと握っていた手を、開く。
てらてらと、夜の光に反射して見える。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
それぞれの決意の顔は、もう自分の言葉では覆らない。
そう察したような表情となり。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「…………ぼ、僕が……僕が、これからやろうと、思っていることは……
……きっと、先生方に、反対されて、しまいます……」
眉をハの字にし、ほんの少し視線を逸らしながら。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……反対するって……それって、どんなこと?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……………」
[メイン]
丈槍 由紀 :
晶くんの顔に、じっと目を向ける。
声は変わらず、ゆったりとしたもので。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 小さな黒の瞳は、由紀の方へ、弱々しく向かれ。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……僕は、僕自身を、変えたくて……だ、だから……」
[メイン] 丈槍 由紀 : あ、向いてくれた。……嬉しい。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「─────"過去"に、戻る……つもり、です」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : ……信じてもらえないでしょうけど……。と付け加えながら。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……過去?それってそのまま、今から過去に、びゅーんって?」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………」
こくりと、頷く。
[メイン]
丈槍 由紀 :
手で、現在と過去の時間軸を表現しようとする。
上手くいっていないのか?マークを浮かべつつ。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「……そ、そのためには……その……
……どうしても、国宝が、必要で」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「それってすごいよね!?
晶くん、過去にも戻れる力が使えるなんて、まるでファンタジーみたい!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 由紀の反応に、少し目を見開かせ、瞬きを。
[メイン] 丈槍 由紀 : 目をらんらんと輝かせたまま、晶へと見つめつつ。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………ば、ばかに、しないん、ですか……?」
[メイン] 丈槍 由紀 : しないよ、と微笑んで。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「晶くんの秘密をこうして教えてくれた。
それなら、先生として生徒の言葉を信じます!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……丈槍先生……」
[メイン]
丈槍 由紀 :
それに、秘密を教えてくれたことも、嬉しいから。
と、また照れくさそうに頬をかき。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……ただ、晶くん」
[メイン] 丈槍 由紀 : 晶の目に、視線を合わせようと背伸びして。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「っ……な、なん、でしょうか……?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : びくっ、と肩を揺らし。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「どうして……過去に戻りたいのかな。
あなたが変わりたい理由って……何なのかな。
無理強いはしないけど、私は……知りたいな、晶くんのこと」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……………」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 眉を顰め、視線を逸らしながら。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………僕は……幼馴染を、殺してしまったんです」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 声を、震わせながら。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「…………」
[メイン] 丈槍 由紀 : 見つめたまま、言葉の先を待つ。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………っ………ぼ、僕は……僕が、あの時、転ばなければ……
……菜々子ちゃんは、死ななかったんです……」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「だ、だから……だから、僕は………戻って……
全部、無かったことに、したいんですっ………」
[メイン] 千代田 桃 : ………………。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………今の僕は、もう……あの時の光景が、ずっと……
脳に張り付いて……取れなくて………
何をするにしても、も、もう……」
[メイン] 千代田 桃 : …………自分のために、先生たちを巻き込んだんだ。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……晶くん……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……そ、それに……あ、後戻りは、も、もう……できま、せん……」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「……"真信教"の方と……ぼ、僕は……一緒に、美術館に、行って……
…そこで、本当は、死ななくてもいいはずの方が……撃たれて……
………も、もう、だから……過去に、戻って……全部、無かったことに、しないと」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 声を震わせ、息も、徐々に荒げながら。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 過去に戻るって、そんな漫画みたいなことが…。
[メイン] 丈槍 由紀 : 震える晶の体に、手をそっと添えて。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……よく、ここまで頑張ったね
辛い想いを小さい頃から抱えながらも、ずっと、耐えてきてたんだ」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「っ…………」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
侮蔑されることを、予測してた。
だからこそ、由紀の言葉は、晶の焼けた胸に沁みた。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「えっと、ごめんね……晶くんの家に、お邪魔したの」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……アルバムに映ってた女の子……
あの子が、晶くんの言う……幼馴染の子かな」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「……………」
ゆっくりと、頷く。
[メイン]
丈槍 由紀 :
そっか、と頷いて。
……そのアルバムを大事に取っていたなら、それほど大切な人だったのだろう。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……どうしても、晶くんは戻りたい?
全部をなかったことして、過去からなくしたいのかな」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : その問いに強く、頷く。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………変わりたかった、それだけ、なんだ……」
[メイン]
千代田 桃 :
「………………勝手な事を」
ぼそり、声に出てしまう。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「…………!」
視線が、その声の主に向く。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 桃ちゃんの方に視線を向ける。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………」
縮こまるようになる。
[メイン]
千代田 桃 :
「………………。」
……そちらは見ないまま。
……自分たちを巻き込んだ勝手な考えが、私自身の勝手な二人への頼み事と照らし合わさって……余計に、腹が立つ。
[メイン]
千代田 桃 :
「……………………私も手伝う。」
「…………一人だけ帰るんじゃ、意味ないし。」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「…………桃ちゃん」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「ごめんね。桃ちゃんは帰ろうとしてたのに…」
[メイン]
千代田 桃 :
……別に、私が帰りたかったわけじゃない。
…………どうしてこう、上手くいかないのかな。
ただ大切な人ひとり守ることすらも……許されずに。
[メイン]
丈槍 由紀 :
桃の言葉は、全うだ。
これ以上失う命を増やしたくないから、みんなを連れて、日常に戻る。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……”みんな”と帰りたかったんだよね」
[メイン] 千代田 桃 : 「……」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……私の我儘のせいで、私も、千代ちゃんも……フイにしちゃったけど
でも……ありがとう、そう言ってくれて」
[メイン]
丈槍 由紀 :
その信念を曲げてまで、私達に付き合ってくれたんだ。
……生徒に心配させるなんて、先生失格かもしれない。
[メイン]
千代田 桃 :
「……いいんです」
半ば自暴自棄のように、黒く湛えた瞳を全員から逸らす。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 小さな黒の瞳は、由紀へ向けられる。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : そして、おずおずと、頭を、下げる。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………不安、でし、た………だ、だから……先生が、いてくれて……
ぼ、僕……ぅ、ぅぅぅ………」
[メイン] 丈槍 由紀 : その頭を、ぽんぽん、ゆっくりと撫でて。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………ぁ……ぅ……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……ありがとう、ござい、ました……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………あ、あの、でも、そのっ……」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………も、もう、僕は、大丈夫、です……
……警察の方と、僕は……会って、そ、それで……
新しい、国宝を、手にしないと、い、いけない、ので……」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
由紀に、白い紙を渡す。
そこには、真信教本拠地の住所が、書いてあった。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………"犯人"、です」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「…………」
握った白い紙に、ごくりと息を呑む。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : それだけ告げ。そして、晶は、街へと、歩いて行った。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「こ、小早川くん」
ちょっと気まずそうに名前を呼ぶ。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「っ……」
びくっ!と肩を揺らし、おそるおそる瞳を、千代の方へ向ける。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……さ、佐倉、さん……」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「ごめん!私、実はちょっと小早川くんのこと疑ってたの」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「ちゃんと小早川くんの本心は伝わったから…気をつけてね!」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「また学校で会おうね!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「…………ぅ、ぅぅ……」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………もっと、早く、佐倉さんと、友達になれたら……
……違ったの、ですかね……僕は……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………ありがとう、ございます……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : そう告げ、晶は街へと歩いて行った。
[メイン]
千代田 桃 :
……そちらは見ない。
……彼に嫌われるだけのことをしておいて、向こうも私に挨拶を返す義理はないだろうし。
[メイン]
丈槍 由紀 :
去る背を見送る。
一人にするのはに心配だったが。
[メイン] 丈槍 由紀 : ちらり、と手にした白い紙を見つめて。
[メイン]
丈槍 由紀 :
彼を取り巻く環境がわからなければ……
言葉の掛けようも、ない。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……ふう、皆さん……
……今日はお疲れさまでした」
[メイン]
丈槍 由紀 :
そうして、くるりと二人の方を向き。
二人の頭も背伸びしてぽふぽふ、と撫でる。
[メイン] 千代田 桃 : 「っ…」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : あはは。と軽く笑う。
[メイン] 丈槍 由紀 : 二人ににこっ、と笑いつつ。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「もう夜は遅いですから……今日は、おやすみにしましょう」
[メイン] 千代田 桃 : 少し困惑した表情をしつつこくん、と頷く。
[メイン]
丈槍 由紀 :
色々ありましたから、休む時間も必要でしょう、と付け加えて。
そう、いろいろ、だ。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : コクリと頷く。
[メイン]
千代田 桃 :
「……はい。」
……確かに、疲れた。……先生なら尚のことだろう。
[メイン] 丈槍 由紀 : はふう~、と息を漏らし、大げさに肩を抑えつつ。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「明日は……心変わりしたのなら、来なくても大丈夫」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「でも、少なくとも今日は。
桃ちゃん、千代ちゃんに……一緒に行ってくれる、なんて言われて……先生、とっても嬉しかったんだ!」
[メイン] 丈槍 由紀 : にへっと、子どもっぽい、疲れもなさそうな顔で笑い。
[メイン]
千代田 桃 :
……う。
……命が懸かっているとはいえ、自分だけ不貞腐れてるのが、本当に子供みたいで……少し恥ずかしい。
[メイン] 千代田 桃 : 「……行きますよ。人の折角の決意を揺るがすようなこと言わないでください」
[メイン] 千代田 桃 : ……少しだけ、軽口めかして言う。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「私は私にやれることをしたいだけです」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「それが一緒に行くこと、なだけです」
[メイン] 丈槍 由紀 : 二人の答えに励まされるように、うんうん、と頷いて。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「それなら……”また”、ね!」
[メイン]
丈槍 由紀 :
そう言って、二人の顔が見えなくなるまで手を振って。
夜の街へと去っていった。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 由紀先生を見送ったあと、隣に立つ桃ちゃんに話しかける。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「桃ちゃん。さっきは一緒に行くって言ってくれてありがとう」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「私は由紀先生にああ言ったけど、本当は不安でさ」
[メイン] 千代田 桃 : え、と目を少し見開いて千代の方を見る。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 脳裏にネットカフェを出てすぐに聞こえてきた6発の銃声が蘇り、手が少し震える。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「でも、桃ちゃんが一緒なら心強いよ」
[メイン] 千代田 桃 : 「…………。……私の方こそ、ありがとう」
[メイン]
千代田 桃 :
「…………二人を無事に連れて帰りたかったのは本当だけど。……私もどうしていいか、わからなかったから」
「……私は二人ほど、お人好しになれないしね」
[メイン] 千代田 桃 : 千代の方を向いて寂しそうに笑う。
[メイン] 千代田 桃 : 「……でも、千代が一緒なら……もう少し頑張れると思う」
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「…それでも着いてきてくれるって言ってくれたときは嬉しかったよ」
桃ちゃんの寂しそうな笑顔に優しく微笑む。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「うん!私も、一緒に頑張ろう!」
[メイン]
千代田 桃 :
「…………うん。私も、一緒にいる……から」
ぐ、と千代の震える手を包み込むようにして握る。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「…わ、あたたかい」
思ったことがそのまま口に出てしまった。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : でも、その桃ちゃんの優しさで震えはおさまっていく。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………。」
……恥ずかしそうに視線を逸らす。……私もそのくらい素直になれたらいいのに。
[メイン] 千代田 桃 : 「……帰ろっか」
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「うん!」
コクリと頷く。
[メイン]
千代田 桃 :
満足そうに頷きを返して。
そのまま、繋がった影が夜の街に溶ける。
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] GM : ─────その次の日。
[メイン] GM : スマホのニュース記事に、また美術館で盗難事件が発生した、という情報が流れるが。
[メイン] GM : それはまた、すぐに消された。
[メイン] GM : それにあなた達が気が付けたかどうかは、定かではない。
[メイン] GM : そして。
[メイン] GM : 丈槍家のポスターに、手紙が入っていた。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……これは」
[メイン] 丈槍 由紀 : それは早朝だった。寝ぼけ眼を擦り、日課の確認をしていたところ。
[メイン] 丈槍 由紀 : その手紙はあった。
[メイン]
丈槍 由紀 :
すっかり冴えた体で、手紙をめくる。
ぺらり。
[メイン] GM : ─────その手紙は、手書きで書かれたものであり。
[メイン] GM : アイデア判定
[メイン] 丈槍 由紀 : CCB<=70 アイデア (1D100<=70) > 5 > 決定的成功/スペシャル
[メイン]
GM :
由紀は、その文字に覚えがあるだろう。
─────晶のものである。
[メイン] GM :
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 丈槍先生へ。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 昨日は、こんな僕のために、本当にありがとうございました。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : ……丈槍先生に電話したのも、本当は、不安で、仕方なかったからでした。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
そのせいで、用務員さんが、亡くなってしまって……。
……それに、先生方を、僕のすることに巻き込むことになって。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
……僕は、家族に期待されず、そして友達にも、馬鹿にされて。
ずっと、一人でした。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
そんな中、先生は………僕のことを、見てくれてました。
本当に、僕の……大切な、先生です。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
………だからこそ、ごめんなさい。
僕は、決めました。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
皆さんは、とても優しいです。
だからこそ、これ以上僕のやることに巻き込みたくありません。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : そして、真実をここに記します。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 真信教に見つからないように、読んだ後は燃やして捨ててください。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
─────僕が救いを求めるように入信した、真信教は、カルトでした。
ですが、ただのカルトでは、ありませんでした。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
教祖の望むことを叶えれば、この世に実在しない知識を給うことができる。
……信じがたいですが、それは、本当のことで。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
この世の中にある、様々な便利な物の中には……
……真信教の教祖によって齎された知識によって、できたものが、数多くあります。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
真信教は、国家権力に関わる人達も入信しています。
だからこそ、その存在は明るみに出ず、隠されていました。
僕が見つけることができたのも、ただの幸運だったようで。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
……人は、知識を得ると、快楽を得ます。
それを求めて、裏では大勢の人が、教祖の言いなりになってます。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
……教祖は、僕の直感ですが。
人間では、ありません。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
教祖は、過去に精神を送る薬を見つけました。
そしてそれが真実であるという教えが、僕含めた信者を狂わせ
昨今の、美術館における盗難事件は、それが由来し
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
……教祖は、人間の文化を知りたがって、国宝を差し出した者に
薬を与える、ということで
………僕も、協力することに、なりました。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
新たな国宝は、警察の方の助力もあり、手に入れました。
……僕は、過去に行って参りたいと思います。
これも、僕の単なる直感でしかありませんが。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 過去に戻るのは……とても、"危険"です。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
……胸騒ぎがして止まりませんが。
それでも僕はもう、引き返せないので、進みます。
……今この世界で何が起きているのか、それは先生に伝えました。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
この世界では、人ならざる者が、支配をしているかもしれません。
………どうか、僕の言葉を信じてください。
そして、もう……僕は、一人でも大丈夫です。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
もし過去に戻り、上手くいけば、きっと明るくなった僕が
学校に来ているかもしれません。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : その時は………また、よろしくお願いします。
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] GM : 世界中から、小早川 晶という少年の記憶は、無くなった。
[メイン] GM : ─────由紀を除き。
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] 丈槍 由紀 : ぐっと、その手紙を握りこんで。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……急がなきゃ」
[メイン] 丈槍 由紀 : 急かされるように。足が自然と動いていた。
[メイン]
丈槍 由紀 :
どこにいるか、わからない。
場所の見当もない。
[メイン] 丈槍 由紀 : 私達は、親しい友だちというわけではない。
[メイン]
丈槍 由紀 :
そこまでお互いの事を知り合ってるわけではない。
私が知っている彼の好きなものと言えば、せいぜい、絵が得意なこと。
[メイン] 丈槍 由紀 : ただ、それでも。足は止まらないまま、向かって行って。
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 : がらり、と扉を開く。
[メイン]
丈槍 由紀 :
今日は休みで、学校に登校している人は少ない。
遠くに見える校庭では、部活中の生徒がグラウンドを走っている。
[メイン]
丈槍 由紀 :
はぁ、はぁ、と息を吐いて。
教室の中を見回す。
[メイン] GM : 由紀の記憶にある席には、"別人"が座っていた。
[メイン] 丈槍 由紀 : 人影に、ぱぁっと顔を輝かせたが。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「…………ぁ」
[メイン] 丈槍 由紀 : 扉を開いた手を、ずるり、と下げて。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「…………失礼、しました」
[メイン] 丈槍 由紀 : 教室の壁を背に、もたれかかる。
[メイン]
丈槍 由紀 :
目の前には、クラス全員の名前が書かれた体育祭の横断幕があり。
────どこにも、「小早川 晶」はない。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「…………こんなこと、って」
[メイン]
丈槍 由紀 :
……私一人だけが、彼の事を覚えている。
いや。もはや、世界にとって私だけがおかしい。
[メイン]
丈槍 由紀 :
不可解な超常現象。現実と記憶のギャップ。
どうすればいいのか、なんて、わからなくて。
[メイン]
丈槍 由紀 :
……わかんないよ、めぐねえ。
私……何をすればよかったの。……晶くんのために、何が出来たの。
[メイン] 丈槍 由紀 : 体育座りのまま、顔を伏せて。
[メイン]
丈槍 由紀 :
ぱさり、と。
持っていた手紙が落ちる。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「…………あ、っ」
[メイン]
丈槍 由紀 :
……過去に戻る薬。非現実的なものとはもう、思えない。
この影響で晶くんが消えてしまったのなら。
[メイン] 丈槍 由紀 : それでも知っている人がいるの、なら────。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……落ち込んでる暇、ないっ……」
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン]
丈槍 由紀 :
そうして、到着する。
────”真信教”の住所、まさにそこに。
[メイン]
GM :
そこは質素な、3階建ての事務所があった。
入り口の前には警備員がいる。
[メイン]
丈槍 由紀 :
手紙に書かれていた非現実的な事実。
そして、そのビルのいたって普通さに、驚愕して。
[メイン] 丈槍 由紀 : ……こんなに、溶け込んでるものなんだ。もっとてっきり、悪の組織!みたいな感じであるのかと……。
[メイン] 丈槍 由紀 : ……もしかしたら周りにも……。
[メイン]
丈槍 由紀 :
ぶるり、と身震いをするが。
それでも、ビルを見上げて。
[メイン2] system : [ 佐倉 千代(さくら ちよ) ] SAN : 60 → 57
[メイン] 丈槍 由紀 : 中に潜むのは……私が知ることのない、未知ばかりの出来事かもしれない。
[メイン]
丈槍 由紀 :
ぎゅっと、服の裾を握る。
その手には、しっとりと汗がついていて。
[メイン] 丈槍 由紀 : ……不安だ。一人で、ここに行かなくてはならない、と思うと。
[メイン]
丈槍 由紀 :
そして、端末に手を伸ばす。
……昨日”約束”した二人に、掛けようとして────。
[メイン] 丈槍 由紀 : ぴたり。
[メイン] 丈槍 由紀 : ……二人は、約束を……忘れてる、かな。
[メイン] 丈槍 由紀 : ……きっと、私の言うことなんて……覚えてないかも、しれない。
[メイン] 丈槍 由紀 : そう、顔を伏せた時だった。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「由紀せんせ~!」
ブンブンと片腕を振りながら。
[メイン] 千代田 桃 : 「…………。……何やってるんですか」
[メイン] 千代田 桃 : 怪しげなビジネスに引っ掛かる人を見るような視線で。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……へっ!?」
[メイン] 丈槍 由紀 : 慌てて端末を隠し、両手をぶんぶん振る。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「も、桃ちゃん!?千代ちゃん?!なっ……なんでここに!?」
[メイン]
千代田 桃 :
「……なんで、って……」
そのまま千代の方を見る。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「約束、してましたよね?」
そう言いながらも不安げな瞳を由紀先生に向ける。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : なにも覚えていない、ただ漠然と約束していたってことだけを覚えていて。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「…………!
……う、うんっ!うん!!!」
[メイン]
丈槍 由紀 :
……覚えてくれていた人が、いた。
こうして駆けつけてくれる生徒が、いる。
[メイン] 丈槍 由紀 : その事実に、胸が温かくなり。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「んぐっ……うぇ、ううっ……そ、そうだよ……
わっ、私は、桃ちゃん、千代ちゃん、と一緒に……やぐそく、したよ……!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 目頭が、熱を持ったみたいに、熱くなる。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「えええ!?な、なんで泣いてるんですか!?」
あたふたしてしまう。
[メイン]
千代田 桃 :
「……え、あの……とりあえず……」
鞄から普段使いのタオルを手渡す。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……なっ、なんでもない……
と、とにかく……えっとね、二人とも、聞いて!」
[メイン] 丈槍 由紀 : ……ありがとっ!と、桃のタオルにぐしぐし、と拭いて。
[メイン] 丈槍 由紀 : そうして、ありのまま話す。
[メイン] 千代田 桃 : 「……」
[メイン]
丈槍 由紀 :
この世界に「小早川 晶」という少年がいたこと。
そして、彼と過ごした体験、ベックマンとの記憶。
「事実」が書かれた手紙について。
[メイン] 丈槍 由紀 : 全て、打ち明ける。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……信じてくれるかは、わかんない、けど……」
[メイン]
丈槍 由紀 :
……もしかしたら。いや、恐らく。
信じてくれないかもしれない。
[メイン]
丈槍 由紀 :
なぜなら、私から見れば”正しい記憶”でも。
二人にとっては、おかしい。
”存在しない記憶”だ。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 由紀先生の話を聞き、ポカーンとするも。
[メイン] 丈槍 由紀 : おそるおそる、と二人の方を見る。
[メイン] 千代田 桃 : 「…………。」
[メイン] 千代田 桃 : 「…………ごめんなさい。……正直……思い出せないです。……そうだったかもしれない……くらいの感覚は……あるような、ないような」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 私は模写が得意、でも応用が苦手で…だから見たものしか描けない。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……そ、っか……」
[メイン] 千代田 桃 : 「……でも。」
[メイン] 丈槍 由紀 : しょんぼり、と。肩を落としたが。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……桃ちゃん……?」
[メイン]
千代田 桃 :
「…………いつも生徒想いの先生が。」
「私たちにこんなウソ、つくはずない……ってことだけは、断言できます。」
[メイン] 千代田 桃 : にこり、微笑んでみせる。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 由紀先生が話してくれた小早川くんという人と、その幼なじみの写真の絵をさっきまで私は描いていた。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : だから…。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 桃ちゃんにコクリと頷く。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「そうですよ。嘘つくなんて思えません!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「………っ!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……っ、も、ももちゃぁんっ!!!ちよちゃぁん!!」
[メイン] 千代田 桃 : 「わ……」
[メイン] 丈槍 由紀 : 突進のような勢いで二人にぶつかって。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「わわ!?」
[メイン] 丈槍 由紀 : ぎゅっと、二人を抱きついたまま。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……ありがとう、二人がいてくれなかったら……
私、ちょっと不安だったから」
[メイン] 丈槍 由紀 : 言い切り、もう一度強く抱きしめて。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……よし!生徒パワー注入!
ゆき先生、いつでもいけますよ!」
[メイン] 丈槍 由紀 : にへっと、腫れた瞳で、笑いかけて。
[メイン] 千代田 桃 : 突然のことにぱちぱち、と数度またたいて。
[メイン]
丈槍 由紀 :
驚いたような顔の二人に、いたずらっぽく笑って。
そのまま、警備員へと話しかける。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 由紀先生元気出たみたいで良かった…。
[メイン] GM : 「? はい、なんでしょうか?」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「あの、すみません……」
[メイン] GM : 中年男性の警備員は、視線を由紀の方へ向ける。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「私たち、”真信教”に入信しに来ました」
[メイン] 丈槍 由紀 : そう、答える。
[メイン] GM : 「おや、そうでしたか、ではどうぞ」
[メイン] GM : そう言い、手のひらを一口の方へ向ける。
[メイン]
丈槍 由紀 :
……あれ、すんなり。
てっきり合言葉があるのかと身構えてたけど。
[メイン]
丈槍 由紀 :
ともかく、と。
二人に頷いて、入り口に向かう。
[メイン] 千代田 桃 : ぺこり、とお辞儀しそのまま千代の手を引く。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : お邪魔しますとあいさつして桃ちゃんに引かれるまま歩いて行く。
[メイン]
GM :
そしてあなた達は、事務所にある案内図から
教祖のいる部屋を見つけ、受付に面会希望の旨を伝えると
[メイン] GM : あっさりと、通してくれた。
[メイン] 真信教教祖 : 「はい」
[メイン]
GM :
その女性は、静かに座っていた。
あなた達を、じっと見ながら。
[メイン]
丈槍 由紀 :
……すごく、あっさりだ。
真信教が警戒していないのか。
[メイン] GM : 真っ白な髪、瞳、衣服、そのどれもが異質に感じられる。
[メイン] 丈槍 由紀 : ……それほど、真信教を求める人々が、後を絶たないのか。
[メイン]
丈槍 由紀 :
そんな事を考えていれば、通された部屋で。
ぴしっと、姿勢を慌ただしく整える。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……あなたが、真信教教祖様……ですね」
ちらりと、目にした後。
[メイン] 真信教教祖 : 「はい」
[メイン] GM : 淡々とそう返し。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「私たちは、真信教に入りに来たわけでは……ありません
……”過去に戻れる薬”」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「それを三つ、譲っていただければ、と思ったんです」
[メイン] 真信教教祖 : 首を傾ける。
[メイン] 真信教教祖 : そしてまた、首を元の位置に戻す。
[メイン] 真信教教祖 : 「対価は持ってきましたか?」
[メイン]
丈槍 由紀 :
……淡々としている。
何年かこの職業について、色んな人を見てきたけど……。
全てが、異質。
[メイン]
千代田 桃 :
「……!」
また……人を疑うことを知らなすぎる。
[メイン]
丈槍 由紀 :
まるで、人間じゃない……
いや、晶くんも、人間ではない……って。
[メイン] 丈槍 由紀 : その声に、ハッと顔を挙げて。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「あっ、えっと、対価、対価……!?」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : …なんだろう、すごくこわい。
[メイン] 真信教教祖 : 「国宝です」
[メイン] 真信教教祖 : 瞬きを一つもせず、真っ直ぐと見つめる。
[メイン]
丈槍 由紀 :
あたふたと両手を振る。
……そうだ、成り行きで来てしまったけれど……
元々、国宝を持ってきた人間に、薬は与えるって……
[メイン]
丈槍 由紀 :
桃ちゃんも、千代ちゃんも、そんなの……持ってない、よね、当たり前か。
[メイン] 丈槍 由紀 : …………対価。
[メイン] 丈槍 由紀 : ────教祖は、人間の文化を知りたがって、国宝を差し出した者に薬を与える。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……あの」
[メイン] 丈槍 由紀 : おずおずと、手を挙げて。
[メイン] 真信教教祖 : 「?」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「国宝には及ばないかもしれませんが……
私が、あなたに”教えられる”ことは、あります」
[メイン] 真信教教祖 : 「それは興味深いです」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「────私の、過去、全てです」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「私は、教師です
教師として学んだこと、教師になった過去
全て、あなたに……教えます」
[メイン] 丈槍 由紀 : じっと、教祖を見つめる。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……それが対価になりませんか?」
[メイン] 真信教教祖 : 「聞いてから決めます」
[メイン] 丈槍 由紀 : ……ごくり、と息を呑む。
[メイン] 丈槍 由紀 : 実を言えば、この過去は、今置かれている状況と似ているくらい。
[メイン] 丈槍 由紀 : ファンタジーのような、あり得ない過去だ。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……わかりました」
[メイン]
丈槍 由紀 :
これを明かすのは、胸がじくじくと、痛む。
痛むはずがないのに、けれど、痛い。
[メイン] 丈槍 由紀 : ……けれど、ここには二人、私の大切な、頼りになる生徒がいる。
[メイン] 丈槍 由紀 : すう、と息を吸って。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「私立巡ヶ丘学院高等学校を中心に、ゾンビウィルスと揶揄された病が────」
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 : 「────以上です」
[メイン] 丈槍 由紀 : はあ、と息を吐く。
[メイン] 真信教教祖 : 「とても興味深かったですね」
[メイン]
丈槍 由紀 :
クーラーが効いており、夏場とも思えない位の涼しさ。
だが、額にはびっしょりと、脂汗が浮かんでいて。
[メイン] 真信教教祖 : 「絆ですか、それは私の理解から程遠いものですが」
[メイン] 真信教教祖 : 「しかし、そこに新たな可能性、進化の種があると私は思います」
[メイン] 真信教教祖 : 「感情をこのように受け継ぐ生命は他にいません」
[メイン] 真信教教祖 : 「面白いサンプルをいただけました」
[メイン] 真信教教祖 : コト。と瓶を3本置く。
[メイン] 丈槍 由紀 : ほんとは現国の先生なんですけどね、と軽く笑い。
[メイン] 真信教教祖 : 「どうぞ、こちらが精神を過去に送る薬です」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……これが、過去に送る薬……
みんなの分もちゃんとある……」
[メイン] 丈槍 由紀 : 他の二人にも、ぽん、と渡しておいて。
[メイン] 真信教教祖 : 「以上ですね、さようなら」
[メイン] 丈槍 由紀 : それじゃあ。と、あーん、と口にしようとした時。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「はっ」
[メイン] 丈槍 由紀 : まるっこい、デフォルメ顔になる。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……え、えっと……
実はこれを飲んだ人が、現代で行方不明になってたんですけど」
[メイン] 丈槍 由紀 : 何か知りませんかね……?と、教祖を見る。
[メイン] 真信教教祖 : 「?」
[メイン] 真信教教祖 : 首を傾げる。
[メイン] 真信教教祖 : そして、元の位置に戻す。
[メイン] 真信教教祖 : 「それはそうですよ」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……えっ」
[メイン] 丈槍 由紀 : えっ。
[メイン] 真信教教祖 : 「?」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「これ、飲んだら何が起きるんですか……?」
[メイン] 真信教教祖 : 「過去に戻ります」
[メイン] 丈槍 由紀 : そ、そうじゃなくて!とわたわた、とせわしなく手を振って。
[メイン] 真信教教祖 : 「?」
[メイン]
千代田 桃 :
こほん、と遮るように咳払いして。
「……えーと、つまり……飲んだら現代には戻ってこられないような仕組みなんですか?」
[メイン] 真信教教祖 : 「そうですね」
[メイン] 千代田 桃 : 「…………」
[メイン] 丈槍 由紀 : 助け舟が来てくれた……!
[メイン] 丈槍 由紀 : 桃に、感謝の眼差しを送りつつ。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : きょとんとしながら見守っている。
[メイン]
千代田 桃 :
……とはいえ、特には思いつかないので……考えるままを素直に。
「……そのですね、じゃあ、この薬はいったい何のために……何か、生きたまま戻れる対抗策のようなものは……」
[メイン] 真信教教祖 : 「ありません」
[メイン] 真信教教祖 : 「過去に戻るだけです」
[メイン] 千代田 桃 : 「……え」
[メイン] 真信教教祖 : 「ここに戻るなら、ここまで生きるだけです」
[メイン] 千代田 桃 : 「……」
[メイン]
丈槍 由紀 :
……対抗策は、ない?
それじゃあ、どうして……
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……えっと、あなたは……
”小早川 晶”を知っていますか?
もし知っているなら……なぜ、彼が現代にいなかったかも、わかりますか?」
[メイン] 丈槍 由紀 : 今現在、”世界に存在しない名前”を語る。
[メイン] 真信教教祖 : 「挙げればキリがありませんね」
[メイン] 真信教教祖 : 当然のように、知っているような反応。
[メイン] 丈槍 由紀 : ……やっぱり、知ってる、んだ。
[メイン] 真信教教祖 : 「人はティンダロスの猟犬と対峙すると正気を失うらしいですね」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……死んだ、直接の理由は?」
[メイン] 丈槍 由紀 : 唇を噛み、そう呟く。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……ティンダロスの猟犬……」
[メイン] 真信教教祖 : 「観測してないので分かりません」
[メイン] 丈槍 由紀 : 聞きなれない、その単語を呟き。
[メイン]
真信教教祖 :
「ただ過去に戻って、ここまで生きていないというのであれば
その過程で、小早川 晶を死に至らせた要因があるのは確かでしょうね」
[メイン]
真信教教祖 :
「過去に戻る際、ティンダロスの猟犬対策を講じても
人はそれを見て、我を失うので、そこで殺されてしまうこともあるでしょう」
[メイン] 丈槍 由紀 : そのティンダロスの猟犬というものが、過去に戻ることと関わるようなそぶり。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……え、ええっ!?
た、対策とか、できないんですかっ……!?」
[メイン] 真信教教祖 : 「慣れじゃないですか?」
[メイン]
丈槍 由紀 :
な……慣れ……!?
……いや、うーん。この人はなんだか、少しズレた物の言い方で返してくるから。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……人間がその猟犬を退ける方法はないんですか?」
[メイン] 真信教教祖 : 「?」
[メイン] 真信教教祖 : 「知らないのですか?」
[メイン] 真信教教祖 : 「過去に戻るのに?」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「えっ、あっ、す、すみません……知りません……」
[メイン] 丈槍 由紀 : 当然のように訪ねてくる物言いに、思わず恐縮して。
[メイン] 真信教教祖 : 「退散の呪文を唱えるだけですよ」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「退散の呪文……っていうのは?」
[メイン] 真信教教祖 : 「興味深い過去をお話いただいたおまけです」
[メイン] 真信教教祖 : そう言い、口を開くと。
[メイン] GM : ─────あなた達に、この世のものとは思えない言葉の羅列が、頭の中に入り込む。
[メイン] GM : SANc
[メイン] 丈槍 由紀 : 1D100<=80 正気度ロール (1D100<=80) > 27 > 成功
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 1D100<=57 正気度ロール (1D100<=57) > 62 > 失敗
[メイン] 千代田 桃 : CCB<=40 SANチェック (1D100<=40) > 55 > 失敗
[メイン] GM : (1/1d3) ((1/1D3)) > (1/1[1]) > 1
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 1d3 (1D3) > 2
[メイン] system : [ 丈槍 由紀 ] SAN : 80 → 79
[メイン] 丈槍 由紀 : 「………っ!」
[メイン] system : [ 佐倉 千代(さくら ちよ) ] SAN : 57 → 55
[メイン] 千代田 桃 : 1d3 (1D3) > 1
[メイン] system : [ 千代田 桃 ] SAN : 40 → 39
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「う…」
目眩と吐き気に口を押さえる。
[メイン]
GM :
◎ティンダロスの猟犬の退散呪文
SAN1、MP7消費によって唱えることができる。
ティンダロスの猟犬1体を送り返すことが可能。
[メイン]
千代田 桃 :
「……千代」
肩を支える。
[メイン] 真信教教祖 : 「以上です」
[メイン]
丈槍 由紀 :
頭の中に入り込んでいく、音、音、音。
それらが絡みついて、ぐちゃぐちゃになっていく。
[メイン] 丈槍 由紀 : はあ、はあ、と息が乱れて。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……っ、繝�ぅ繝ウ繝繝ュ繧ケ縺ョ蜻ェ譁�r縺雁燕縺ォ謨吶∴繧�」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「ありがとう桃ちゃん」
[メイン] 丈槍 由紀 : 口から、すらすらと、その”呪文”が唱えられる。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……あり、がとう、ござい、ました……」
[メイン] 丈槍 由紀 : 教祖に、ぺこり、と頭を下げて。
[メイン] 真信教教祖 : 「どういたしまして」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……無茶、させちゃったね、二人も、ありがと」
[メイン]
丈槍 由紀 :
そう言って、二人にも頭を下げて。
……これで、大丈夫な、はず。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「約束、ですから」
教祖さんに頭を下げたあと、由紀先生に応える。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………いえ」
同じくぺこり、と
[メイン]
丈槍 由紀 :
二人にこくり、頷いて。
……そのまま、瓶の蓋を開き、それを口にする。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : その様子を見て、自分も瓶の蓋に手をかける。
[メイン] 丈槍 由紀 : ……前に、ふと。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……そういえば、今の呪文……
一度唱えたら、もう二度とそのわんちゃんと合わないんですか?」
[メイン] 真信教教祖 : 「そうですね」
[メイン] 丈槍 由紀 : ほっ、大丈夫そうだ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「あ。……そのわんちゃんって、出るタイミング……?
出る条件みたいなのって、あるんですか?」
[メイン] 真信教教祖 : 「あります」
[メイン] 真信教教祖 : 「歴史が大きく変わろうとした際、彼らの鼻に引っかかります」
[メイン] 真信教教祖 : 「例えば、今この世界で死んでいる者がいる場合」
[メイン] 真信教教祖 : 「その者を生かそうとした際、猟犬は現れます」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「…………!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 慌てて、瓶を落としかける。
[メイン]
丈槍 由紀 :
晶くんは言っていた。
人生を変えたい、と。彼の人生で経た”死”を、全て救いたいと。
[メイン]
丈槍 由紀 :
それで引き起こされる、猟犬の数はいったい……
どれほどのものになるのか。
[メイン]
丈槍 由紀 :
いくら退散が可能な呪文を持っていたとはいえ、精神が壊れる、と言われるほど。
[メイン] 丈槍 由紀 : 私だけなら平気だ。ただ、二人に、これを背負わせていいのか。
[メイン]
丈槍 由紀 :
ちらりと二人の目を見つめて。
……何度も、こうやって……二人には選択させてしまったな。
[メイン]
千代田 桃 :
「…………」
ことん、と瓶を置く。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「桃ちゃん…?」
置かれた瓶と、桃ちゃんを交互に見る。
[メイン] 千代田 桃 : 「…………ごめん、先生。」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「…………」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「ううん。ここまで付いてきてくれただけでも、私は……すっごく、助けられたから」
[メイン] 千代田 桃 : 「…………。」
[メイン] 千代田 桃 : 「……多分なんだけどさ。」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「きっと、次会う時は……スーパーゆき先生になってるよ!
色んな経験を積んだ、とっても……
……う、うん」
[メイン] 丈槍 由紀 : マッスルポーズを取って、すぐに姿勢を直す。
[メイン] 千代田 桃 : 「…………その、小早川って人と私たちが一緒にいた時のことは、私……知らないんだけどね。……きっと、同じこと言ってたと思う」
[メイン] 千代田 桃 : 「…………私は、先生にも行ってほしくない。……だって、私は先生のことが大好きだし……きっと、学校にも……先生がいなくなって悲しむ人が、大勢いる」
[メイン] 千代田 桃 : 「……たとえ、いつか帰ってくると信じてても。……私は、悲しいよ」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「…………」
[メイン] 丈槍 由紀 : その言葉に、きゅっと、唇を噛む。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……本当に……桃ちゃんは、優しくて、敏い子ですね」
[メイン] 千代田 桃 : 「……。」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「はい、言ってくれましたよ
私のために、何度も止めてくれて……その度に、折れてもらって」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「また……迷惑掛けちゃいますね」
[メイン] 丈槍 由紀 : ことん、と瓶を置いて。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……でも、約束します
離れてても、例えいなくなっても……」
[メイン] 丈槍 由紀 : 頭をぽんぽん、と撫でて。
[メイン] 千代田 桃 : 「……っ」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……私はずっと桃ちゃんの先生です」
[メイン] 千代田 桃 : 「…………」
[メイン] 千代田 桃 : ……ずるいよ。
[メイン] 丈槍 由紀 : えへへ、先生は、ずるいんです。
[メイン]
丈槍 由紀 :
そして。
瓶を持ち直し。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……千代ちゃんは、どうしたい?」
[メイン] 千代田 桃 : 「…………。」
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「私は…」
持っていた瓶の方に目を落とす。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 正直状況に流されてる気はしてる。記憶も曖昧だし、あの教祖さんが言ったことが本当で、もし失敗したとしたら私は…。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
でも、小早川くんとも何か約束したような、そんな気がするんだ。
だから…。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「ごめんね。桃ちゃん、私は行ってくるよ」
ニコリと桃ちゃんに笑顔を向ける。
[メイン] 千代田 桃 : 「……」
[メイン] 千代田 桃 : 「…………どうして」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「それはね、''みんな''と帰りたいから、かな」
[メイン] 千代田 桃 : 「……」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「私が行っても足を引っぱるかもしれないし、絶対に戻ってこれる保証もない」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「だけど、だからこそ。帰ってきたいから行くんだよ」
[メイン] 千代田 桃 : 「──────っ」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「桃ちゃんが由紀先生のことを好きなように、私も由紀先生のこと好きだしね」
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「なんだか私も行くことで桃ちゃんには2倍負担をかけそうだけど…」
そう言って頭をかく。
[メイン]
千代田 桃 :
…………どうして。
…………どうして、そんな簡単に……
[メイン] 千代田 桃 : 目の奥がぐるぐると渦巻く。息が苦しい。
[メイン] 千代田 桃 : 「──────勝手に、してよ」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : わかったよ。とコクリと頷いて。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
「そうだ!桃ちゃん!約束して!」
ポンと手を合わせて。
[メイン] 千代田 桃 : …………何もかもがぐちゃぐちゃになりそうな頭を辛うじては、と起こす。
[メイン] 千代田 桃 : 千代の目をじっと見る。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 同じく桃ちゃんの瞳を見て、ニッコリと微笑む。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「帰ってきたら、また友達になってね」
[メイン] 千代田 桃 : 「…………っ……!!!」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : それだけ伝えると、瓶の蓋を開け、コクリと中身を飲み干す。
[メイン] 丈槍 由紀 : 二人のやりとりを見届けて。
[メイン] 丈槍 由紀 : かぱ、と蓋を開き、その中身を、今度こそ飲みこむ。
[メイン] 千代田 桃 : その様子を前に、もはや何と声をかければいいのかもわからず。
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] GM : 残酷にも、そこで意識は、切り替わる。
[メイン] GM : 丈槍先生、そして千代とまた会えるかどうか
[メイン] GM : それは─────神のみぞ知る。
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] GM : ─────7年前。
[メイン] GM : あなた達は気が付けば。
[メイン] GM : 7年前の体になっている。
[雑談] system : [ ベックマン ] HP : 0 → 7
[メイン]
GM :
あなた達がどこにいる?
それは、7年前のあなた達が知ることだろう。
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン] GM :
[メイン]
丈槍 由紀 :
じーわ、じーわ。
セミが鳴いていた。
[メイン]
丈槍 由紀 :
夏だというのに暑さは何だか、そこまで暑くない。
気持ちちょっとばかり、涼しいように思える。
[メイン]
丈槍 由紀 :
しばし、呆けたように、立ち止まって。
顔を見上げれば────。
[メイン] 丈槍 由紀 : そこに、鏡があった。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……へっ」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「へ、へえええっ!!!?」
[メイン] 丈槍 由紀 : 自分のほっぺに触れ、もちもちもち、と伸ばす。
[メイン]
丈槍 由紀 :
ほ、ほんとになるなんて……!
疑ってたわけじゃないけど、こうしてみると……すご。
[メイン]
丈槍 由紀 :
由紀の体は、7年前────15歳。
まだ中学生のものとなっており。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……はっ、こうしてる場合じゃなかった!」
[メイン]
丈槍 由紀 :
15歳の夏。
自由研究でカブトムシ集めをしていた、ある公園。
[メイン] 丈槍 由紀 : しかし、”今”の私には関係ない。
[メイン] 丈槍 由紀 : その公園を、飛び出して────。
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 : そうして、走り回った。
[メイン] 丈槍 由紀 : 千代ちゃんと待ち合わせをしていた私達の母校をめぐり。
[メイン] 丈槍 由紀 : 途中、若き日のベックマンさんに出会った。
[メイン]
丈槍 由紀 :
最初は正直に、私達に起ることを説明した。
将来用務員としてベックマンと出会う事。そして晶くんを中心とした事件が起こり────
[メイン] 丈槍 由紀 : 最後に、死んでしまう事。
[メイン]
丈槍 由紀 :
私達の話をして、信じてもらえるかどうかはわからなかった。
見ず知らずの少女二人が、そんな事を話すのだ。
[メイン] 丈槍 由紀 : だが、ベックマンさんは、バカにする様子もなく、話に耳を傾け。
[メイン]
丈槍 由紀 :
『────おもしれェじゃねえか、乗った』
と、返事をくれた。
[メイン] 丈槍 由紀 : 時間を経ても、変わらない人だなあ、なんて思いつつも。
[メイン] 丈槍 由紀 : この町にいる、『小早川 晶』の存在を聞きまわり────。
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) :
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) :
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「─────菜々子ちゃんッ!!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : ─────小さな少年は。
[メイン] 大友 菜々子(おおとも ななこ) : 「きゃっ……!?ど、どうしたの晶く……」
[雑談] system : [ ベックマン ] SAN : 60 → 59
[雑談] system : [ ベックマン ] SAN : 59 → 60
[メイン] GM : 8/25。
[メイン] GM : 大友 菜々子という、赤リボンの少女の誕生日であり
[メイン] GM : そして、花火大会の日。
[メイン] GM : 二人で、お祭りで出かけに行った際の出来事であった。
[メイン]
GM :
晶は、不運にも、足を挫いて、車道に身を乗り出し
そして、そこを本来であれば
[メイン] 大友 菜々子(おおとも ななこ) : 正義感の強い少女、菜々子が助け出し
[メイン] 大友 菜々子(おおとも ななこ) : 少女は死に。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 少年だけが生きる。
[メイン] GM : ─────そういった運命であった、が。
[メイン] GM : それは、捻じ曲がる。
[メイン] GM :
[メイン] GM : その存在は、ただ飢餓感に襲われている。
[メイン] GM : 獲物をただ、待っている。
[メイン] GM : その匂いが、その存在の鼻についた時。
[メイン] GM :
[メイン] : グルルルルルルルルッ……
[メイン] :
[メイン] ティンダロスの猟犬 : ─────害意が、現れる。
[メイン] ティンダロスの猟犬 : 何もかもを溶かす液を、口から垂らしながら。
[メイン] ティンダロスの猟犬 : 「グルルルルルルルルッ……!!!」
[メイン] 大友 菜々子(おおとも ななこ) : 「え……?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「ひっ……!?」
[メイン] 大友 菜々子(おおとも ななこ) : 1D100<=65 正気度ロール (1D100<=65) > 7 > 成功
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 1D100<=40 正気度ロール (1D100<=40) > 4 > 成功
[メイン] ティンダロスの猟犬 : SANc(1D3/1D20)
[メイン] 大友 菜々子(おおとも ななこ) : 1d3 (1D3) > 1
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 1d3 (1D3) > 1
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「な、な、な、なんだ、あれ……!?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「こ、こんなの、聞いて………!?」
[メイン] ティンダロスの猟犬 : ─────猟犬は、飛び掛かろうと……。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「────すとぉおっぷ!!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 1D100<=79 正気度ロール (1D100<=79) > 57 > 成功
[メイン] 丈槍 由紀 : 1d3 (1D3) > 1
[メイン] system : [ 丈槍 由紀 ] SAN : 79 → 78
[メイン] ベックマン : 「………何もするな!"怪物"!」
[メイン] ベックマン : CCB<=60 (1D100<=60) > 1 > 決定的成功/スペシャル
[メイン] ティンダロスの猟犬 : 「─────ガッ!?!?」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「ひゃあああ!?」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 1D100<=55 正気度ロール (1D100<=55) > 60 > 失敗
[メイン] ティンダロスの猟犬 : 害意は、その巨体ながらも、立ち止まる。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 1d20 (1D20) > 18
[メイン] system : [ 佐倉 千代(さくら ちよ) ] SAN : 55 → 37
[メイン] GM : 不定の狂気
[メイン] GM : 1d6 (1D6) > 6
[メイン] GM : 6ヵ月
[メイン] GM : 1d10 (1D10) > 4
[メイン] GM : フェティッシュ(探索者はある物、ある種類の物、人物に対し異常なまでに執着する。)
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : その化物を見て、恐怖の感情が生まれたあと、頭の中にとある顔が浮かぶ。
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「…桃ちゃん」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 絶対に帰ると約束した友人を思い出し、何故かとても愛おしくなってしまった。
[メイン]
佐倉 千代(さくら ちよ) :
桃ちゃん桃ちゃん桃ちゃん。
この場に何をしに来たのかを忘れるほど、愛おしくてたまらなくなっている。
[メイン]
丈槍 由紀 :
目に映ったのは────化物。
醜悪を煮詰め、この世の恐怖を具現化したものが、そこに。
私達に敵意を向けたまま、存在している。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「へっ……えっ……!?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「─────あ、れ」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……っ、ぅう……
……千代ちゃん!?へ、平気?!」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「……丈槍先生……?佐倉、さん……?
………!?!? よ、用務員さん……?!!??」
[メイン] 丈槍 由紀 : 目を細めながらも、明らかに様子がおかしい千代ちゃんに駆け寄り。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : な、なんでここに……!?と言いたげに、口をあんぐりと開けている。
[メイン] 丈槍 由紀 : 晶に、脂汗を掻きながら手を振る。
[メイン] 丈槍 由紀 : CCB<=81 精神分析 (1D100<=81) > 88 > 失敗
[メイン]
ベックマン :
……ハ、まさかこんなものに会えるとはな。
あながち、未来から来たこいつらも嘘じゃないのかもしれねェ
……エアガンを構え、相対するは不定形の怪物
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 「平気です!絶対に帰るって思いが強くなっただけですから!」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「ぜ、絶対大丈夫じゃないっ……
……!」
[メイン] ティンダロスの猟犬 : 「グルルルルルルルルルルッ……!!!!!!」
[メイン] ベックマン : 「……由紀、その子は下がらせろ。無理もねェさ、こんな生き物を直に見ちまえばな…!」
[メイン]
丈槍 由紀 :
千代に駆け寄ったまま、見据えるのは。
化物────ではなく、それに悠々と向かう、一人の男。
[メイン] 丈槍 由紀 : それに、こくこくと頷いて。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「────頼みました、ベックマンさんッ!!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 千代と共に、一歩、下がる。
[メイン] ベックマン : 「さァ、未来のおれとやらの無念を晴らしてやるか…おれを倒したきゃ、軍艦でも持ってくるんだったなァ!?」
[メイン] ティンダロスの猟犬 : 「グガアアアアアアアアアアッ!!!!!!」
[メイン] ティンダロスの猟犬 : ─────その巨体は、ベックマンに飛び掛かろうとするも。
[メイン] ベックマン : するり、それを軽く躱し、先ほど聞いた退散の呪文を唱える
[メイン] ティンダロスの猟犬 : 「…………!!!!!」
[メイン] ティンダロスの猟犬 : 猟犬の体は、異次元へと飛ばされていく。
[メイン] ティンダロスの猟犬 : 徐々に、徐々に、消えて行き。
[メイン] ベックマン : 「豸医∴繧阪ユ繧」繝ウ繝?繝ュ繧ケ?!!!」
[メイン] ティンダロスの猟犬 : その巨大な口が、ベックマンの頭を齧ろうとして─────。
[メイン] ティンダロスの猟犬 : ─────消える。
[メイン]
ベックマン :
「ハッ、未知の怪物といえども対処法を知ってればこんなもんか」
振り向き、先ほどの少年少女へと声を掛ける
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : その光景を、ぽかーんと口を開け。
[メイン] ベックマン : 「お前ら、怪我はないか?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「す、すごい……これが、用務員、さん……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : その言葉に、こくこくと頷く。
[メイン] 丈槍 由紀 : びくともしない姿に、ぱあああ、と目を輝かせて。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「……あ、あのっ!今のは、一体……!?
と、というか……!?何故皆さんがここに……!?」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「す、すご……!?あ、うん!私は平気だけど……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 激しく首をそれぞれの顔に向かせながら。
[メイン]
丈槍 由紀 :
ちらり、と千代ちゃんを見る。
……後でいっぱい、言ってあげないと。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「…………」
晶に、目を向けて。
[メイン] ベックマン : 少し困ったように笑いながら、ぽりぽりと頭を掻く。
[メイン] ベックマン : 「あー……悪いがおれは用務員のおれじゃねェんだよ、そいつは死んでここにいるのは……過去?のおれだ」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「っ…………」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : その言葉を聞き、唇を噛みしめながら、拳を握り固める。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……………」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………教えて、ください」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 俯かせた顔を上げ、眉を吊り上がらせ、ベックマンを、そして丈槍先生を見て。
[メイン] 丈槍 由紀 : たったったと、晶に近づく。
[メイン] 丈槍 由紀 : そして、晶のおでこに。
[メイン] 丈槍 由紀 : ぺしっ。
[メイン] 丈槍 由紀 : 軽い、痛みもないようなデコピンを食らわせる。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「助けてくれて、ありがとうございます……本当に……
でも、僕もあの怪物を……どうにかして、僕は、みんなを……!
……!?!?あ、あいたっ!?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : デコピンに大きく仰け反りながら。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 涙目で、額に手を当てながら。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……全くもう!一人でこんなとこに行って……
先生もみんなも、心配したんだからね?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「ぁ………ぅ、ぅぅ……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : その言葉に、ハッ、としたようで。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「…………ごめんなさい……」
[メイン] 丈槍 由紀 : 頭に指を出し、鬼のように形作り。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 深々と、頭を下げ。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「…………でも、頑張ったね」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………ぇぅ」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「見てたよ、さっきのこと
あの子を……助けたんだよね」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : じんわりと、涙目になりながら、由紀を見上げ。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「…………は、いっ……」
[メイン] 丈槍 由紀 : そうして、赤いリボンが特徴的な、女の子に目をやる。
[メイン]
大友 菜々子(おおとも ななこ) :
どゆこと?といったような表情をしながらも
由紀と目が合い、にこりと笑い。
[メイン]
大友 菜々子(おおとも ななこ) :
「おじさん!お姉さん!ありがとうございます!」
赤いリボンの少女もまた、頭を下げ。
[メイン]
大友 菜々子(おおとも ななこ) :
「ねぇねぇねぇ!今のなんだったの!?
すごかった!おっきいわんちゃんが!一瞬で現れて!
一瞬で消えた!!」
[メイン] ベックマン : 「詳しく聞きたいか?でもダメだ」
[メイン]
大友 菜々子(おおとも ななこ) :
「なんでーー!ぶーぶー!」
頬を膨らませながら。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「っ!そ、そうだよ菜々子ちゃん!え、えっとこれは
そ、その……僕の咎、というか、えっと、えっと……」
[メイン]
ベックマン :
少し意地悪そうな笑みを浮かべ
「"大人"になったら教えてやるよ」
[メイン] 大友 菜々子(おおとも ななこ) : きらりん!と目を輝かせる。
[メイン] 大友 菜々子(おおとも ななこ) : 「おじさん、カッコイイ!」
[メイン] 丈槍 由紀 : あ、相変わらず……カッコいい人だなー……なんて、ぽかんとしつつ。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
そんな様子に、晶はあはは…と笑う。
そして……懐かしむように、また涙が。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
袖でごしごしと、目元を拭きながらも
由紀を見上げ。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……そ、その、僕っ!先生!」
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……ともあれ、よく頑張りました
あの子が笑ってるのは、晶くんのお陰だからね」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「僕は……僕のやってしまったことを、全部……
……精算、したく、て……あ、あうぅ……」
[メイン] 丈槍 由紀 : にこっと笑い、教師だった頃のように、頭を撫でつつ。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 由紀に撫でられ、ふにゃっとした顔になりながらも。
[メイン] 丈槍 由紀 : 晶に、こくり、と頷く。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「と、とにかくっ!……今の化物が、なんだったかと
……対処方法を、どうか……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 深々と、頭を再度下げる。
[メイン] ベックマン : その様子を見、ほっとしながらも
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……僕に、教えてくださいっ……!!」
[メイン] ベックマン : 「罪の清算?ガキが馬鹿言ってんじゃねェよ」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「うぇぇっ……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : びくっ!と肩を揺らしながら、おそるおそるベックマンの方へ視線を向け。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「…………!」
その様子に、うっ、と押されながらも。
ベックマンの方に目をやる。
[メイン] ベックマン : 「自分の守りたいものも一人で守れてねェくせに、全部自分一人で本当に背負えるとでも思ってんのか?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「ぅぁ……ぅ、ぅぅぅ……そ、それは……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 何も返せる言葉が無いようで、図星といった様子で縮こまる。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……うん、でもね、ベックマンさん」
[メイン]
ベックマン :
まぁ待て、と由紀を制し
「………だから小僧、お前が何をしたか言ってみろ」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……………」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : こくりと、頷く。
[メイン] 丈槍 由紀 : むっ。口を手のバツでふさぎ。
[メイン] ベックマン : 「せっかく乗りかかった船なんだ、一緒に航海してやるさ」
[メイン] ベックマン : ………それに、と呟く
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………僕は……自分を変えたいという、身勝手な願いのせいで
……何の罪も無い人を……死ななくて良かった人を、死なせて……
………え?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : ベックマンの言葉に、目を見開かせ。
[メイン] ベックマン : 「どうやら未来のおれも………お前らを助けたくて死んだらしい。知っちまったなら…未来のおれの分まで背負って生きてやるよ」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「っ……!……ぅ、ぁ、ぁぁ……!」
[メイン] ベックマン : ドンッ!と胸を叩き、宣言してみせる。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : じんわりと目が充血し、涙が零れる。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「…………!」
[メイン] 丈槍 由紀 : ……私や千代ちゃんと違って、その時代に生きてる、何も知らない人のはず、なのに。
[メイン] ベックマン : 「そういうことだ、悪いな、由紀"先生"?」
[メイン]
丈槍 由紀 :
この人は……いつだって変わらないんだ。
ベックマンさん……。
[メイン] 丈槍 由紀 : はっ、とベックマンの視線に、ピン、と体を伸ばし。
[メイン]
丈槍 由紀 :
「……えへへ、今はもう教師じゃないですけどね」
けれど、嬉しげに笑いつつ。
[メイン] 丈槍 由紀 : そうして、晶に向き直る。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「…………っ」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 涙目で、鼻水も垂れた顔で、由紀の方へ向き。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……こらこら、男の子が泣かないの」
[メイン]
丈槍 由紀 :
前にもこんなことがあったな、なんて思いながら。
ハンカチで、涙も鼻水を、拭いていって。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「むぁぁぁ~~~……」
[メイン] 丈槍 由紀 : そして、こほん。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……本来死ぬはずだった誰かを助けようとするとき、あの化け物は現れる」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「…………」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : ごくり、と唾を飲み込む。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 冷や汗を垂らしながらも、じっと由紀を見上げたまま。
[メイン]
丈槍 由紀 :
小さな体で。
ただ、背だけは教師のように、伸ばして。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「”あれ”が介入して、私たちの世界では……晶くんが”いなくなった”」
[メイン] 丈槍 由紀 : だから、ここに千代ちゃんと一緒に来たの、と付け加える。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「ぇ………」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………じ、じゃあ……先生方が、ここに来たのも……」
[メイン] 佐倉 千代(さくら ちよ) : 一心不乱に絵を描いている。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……うん、あなたを助けるため」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「…………ごめんなさい」
再び頭を下げ。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……僕は、変われないん、ですか……?」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「ずっと……過去に来ても、先生方に迷惑ばかり、かけて……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 顔を徐々に俯かせながら。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「……あの怪物は、歴史が大きく変わったら……その歴史を収束させるために、人を食べる、って聞いた」
[メイン] 丈槍 由紀 : その謝罪を、きちんと受け止めて。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「つまり、それはね」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「────晶くんが、”変わったからこそ”」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「歴史は大きく動いて、あの化け物は邪魔しに来たんだよ」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「………………!!」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「………も、う……先生は、いつも、そうです……なんで、こんなにも……
ぐすっ……優しくて……ぅ、うぅぅっ……」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 溢れた涙は、止まらず。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
少年の、焦りと、そして孤独な心は、癒された。
─────ベックマンと、由紀の言葉は確実に。
晶少年を、徐々に、徐々に変えていっている。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「─────僕もっ!!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「用務員さんに、佐倉さんにっ……丈槍先生を……!!」
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「他の大勢のみんなを、守れるような……!!
……そんな人間に……なりたい、でずっ……!!!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : ずずずっ!と鼻水を啜りながら。
[メイン] ベックマン : 「よく言った!!!」
[メイン] 丈槍 由紀 : ニッ、と笑って。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「なれる!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「時代が変わっても、存在が消えても、会えなくなったとしても!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 「私は、あなたたちの先生だから!」
[メイン] ベックマン : 高らかに宣言した少年の頭をポンポンと叩いてやる。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : じんわりと、心が、温かく。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「その”希望”を、後押しする!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「うぅ、ぅあぁぁぁぁぁぁぁぁっ………!!!!!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 初めて、少年は、大泣きした。
[メイン]
丈槍 由紀 :
ベックマンに合わせるように。
偉大な夢を語った生徒の頭を、ぐしぐし、と撫でて。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
悲しいからではない、安心を、感じたから。
─────頼れる言葉が、支えが、少年を、変えている。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「……僕っ!!!……ま゛だ、未熟、だから……!!!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「二人のように、なりたいけど、でもっ!!全然、だから……!!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 頭を下げて。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
深く、深く、深く。
アスファルトに、涙の跡が付着しながら。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
「変わりたいからっ、だから………!!!
……どうか………!手伝って、くだざい゛っ………!!!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : ─────少年は初めて、頼った。人に。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「…………」
[メイン]
ベックマン :
漢の宣言を聞き、満足したように笑う。
──────これが、お前が守りたかった新時代か?ベン。
[メイン]
丈槍 由紀 :
晶の、その熱意に、息を呑み。
そして、もう一度笑いかける。
[メイン] 丈槍 由紀 : 「────もちろん!」
[メイン] 丈槍 由紀 : 手を、伸ばす。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : その手を見て、がむしゃらに、掴む。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 涙と、鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 「あ゛りがどうございばず……!!う、うあ゛あぁああぁぁぁぁん!!!」
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 少年の大泣きは、続いた。空果てしなく。
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン]
丈槍 由紀 :
────7年前の夏は、”今”よりも暑くはない。
[メイン] 丈槍 由紀 : この気温は年々、暑くなっていくんだろう。
[メイン]
丈槍 由紀 :
世の中の大半は、変わらない。
世界は私たちを気にすることなく、進んでいくからだ。
[メイン] 丈槍 由紀 : 私たちが変えられるものなんて、ちっぽけだ。
[メイン]
丈槍 由紀 :
きっと世間からすれば、ニュースの記事が一つ減る。
そんな、当たり障りのないこと。
[メイン]
丈槍 由紀 :
けれど────。
その小さなことだとしても、私たちにとっては大切なんだ。
[メイン] 丈槍 由紀 : 変わるのは、人の命だけじゃない。
[メイン] 丈槍 由紀 : ────人”も”。変わる。
[メイン]
丈槍 由紀 :
────変わりたいからっ、だから………!!!
……どうか………!手伝って、くだざい゛っ………!!!
[メイン]
丈槍 由紀 :
……そんな小さな、けれど大切な一歩。
それが一つ一つ重なって、私たちの”今”は、作られていく。
千里の道も一歩から、と言うからね!
[メイン] 丈槍 由紀 : なら、その一歩を見守るのは────
[メイン] 丈槍 由紀 : ────先生の、役目です!
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 丈槍 由紀 :
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) :
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) :
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 先生へ。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : ……猟犬を退散させるために、たくさんありましたね。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 精神がやつれてしまいそうな時もありました
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : でも─────先生が、みんなが傍にいたから
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 僕は、今この時まで生き続けることができました。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 本当に、ありがとうございました。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : ………僕は今、ある勉強をしています。
[メイン]
小早川 晶(こばやかわ あきら) :
僕の絵を、先生は褒めてくれましたから。
だから僕は、それを誇りに……。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) :
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) :
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 学校の先生に、なってみようと思います。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 応援してくださいね。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) :
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) :
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) : 小早川 晶より。
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) :
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) :
[メイン] 小早川 晶(こばやかわ あきら) :
[雑談] system : [ 佐倉 千代(さくら ちよ) ] SAN : 37 → 42
[雑談] system : [ 千代田 桃 ] SAN : 39 → 43